楽天新人に“仙台の洗礼”も… 工夫凝らした練習にドラ1早川「いい知識に」

ネットに向かいボールを投げ込む楽天・早川隆久(右)【写真:宮脇広久】

積雪8センチでメイン球場すっぽり、気温は氷点下1.7度

楽天の新人合同自主トレ3日目が行われた12日、仙台市内は大雪に見舞われ、午前11時の時点で8センチの積雪が観測された。泉犬鷲寮に隣接するウエルファムフーズ森林どりスタジアム泉の両翼101.5メートル、中堅122メートルのフィールドは雪に埋まり、この日予定されていた「遠投」の練習メニューを行うことは不可能に。そこで、ある工夫が講じられた。

この日は、ドラフト5位の入江大樹内野手(仙台育英高)が欠席。以前から痛みを抱えていた左肩の手術に踏み切る見込みとなった。大阪出身ながら仙台の高校で活躍した入江が離脱したことで、残る支配下5人、育成1人の新人選手の中に、過去に東北・北海道で生活した経験のある選手はいなくなった。気温も練習開始の午前10時の段階で氷点下1.7度。雪と寒さへの対応は、当初から懸念されている部分だった。

「昨年の新人合同自主トレ期間中は晴天の日が多く、遠投も屋外で行えました。今年は雪が多いようですね」と球団関係者は心配そうに外の様子をうかがった。

それなりの対策はあった。縦42.5メートル、横46メートルの室内練習の真ん中に、天井まで届くようなネットが引かれた。新人選手たちはそれぞれ、約20メートルの距離からネットへ向かい、「遠投するつもり」で角度をつけてボールを投げ込み続けた。

ドラ1早川「環境にもしっかり順応していかなければならない」

これで最低限度ではあるが、「理にかなった投球フォームを身につける」という遠投と同じ効果が期待できるというわけだ。練習環境が手狭な場合に行われることがあるが、雪に閉ざされる可能性のあるこの季節の楽天には、うってつけの練習方法といえるかもしれない。

ドラフト1位の最速155キロ左腕・早川は今月6日の入寮の際に「東京の寒さは我慢できますが、仙台の寒さは想像以上。まだ適応していません」と首をすくめていたが、この日の“つもり遠投”を終え、「環境にもしっかり順応していかなければならないと思って仙台に来ている。ああいう練習ができて、いい知識になりました」とうなずいた。

3位の150キロ左腕の藤井も「グラウンドが使えない中で、ああいうメニューを組んで下さったのはありがたい。もちろんグラウンドを使えるのが1番ですが、使えない中でも、ああいった練習にしっかり取り組んでいけば大丈夫だと思いました」と手応えをつかんだ様子だ。

東北ならではの環境の中でも、それをハンディキャップにせず、新人選手は工夫と熱意で準備を整えていく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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