長崎の高い技術に期待 機械部品金型製造のKTX 野田太一社長  平戸に新事業所 第2の波及効果狙う

「長崎の技術力の高さに驚いた」と話す野田社長=長崎市出島町、出島交流会館

 自動車などの機械部品金型製造を手掛けるKTX(愛知県江南市)が年内に、長崎県平戸市田平町の市工業団地に新事業所「長崎ラボラトリーズ」(仮称)を開設する。関係者へのあいさつのためこのほど来崎した野田太一社長(52)に、平戸への進出理由や今後の展望を聞いた。

 -平戸に決めた経緯は。
 国内で愛知県外へ進出するのは初めて。昨年2月に長崎市であった(県産業振興財団主催の)ビジネスマッチングフェアで、長崎の溶接技術の高さを知った。平戸の工業団地の土地は地盤が強く、加工で使用する大型機械「レーザーエッチングマシン」を置くのに適している。
 -事業内容は。
 人工関節の開発、製造をメインに、本業である自動車、航空機部品と三位一体で取り組む。人工関節工場は初めての挑戦だ。現在、国内で流通する85%が海外製。値段が高く、正座をする日本人が使うには強度が足りない。新型コロナウイルス禍で国産回帰の流れもあり、日本人の生活様式にマッチしたものを開発したい。
 -従業員数や事業の具体的なビジョンは。
 最初は本社からの5人と現地採用の5人でスタートする。開設後5年間で最大50人くらいにしたい。仮称を「ラボラトリーズ」としたのは、決められたことだけをやるのではなく、何かいいことができないか自分で考えて生み出してほしいから。本社からアドバイザーは送るが、あとは地元の若い力でやってもらいたい。旗を振って先頭を走ってもらうのは長崎の人。
 -県内にどのような効果をもたらしたいか。
 (鎖国時代に)長崎からあらゆるものが全国に広がったように、第2の波及効果を狙いたい。ぜひ県民のみなさんに興味を持ってもらえたらありがたい。


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