光宗薫、「プレバト!!」水彩画で満点獲得し優勝するも「“色”に興味もこだわりもない」!? 2年ぶりの個展への思いも明かすロングインタビュー

「俳句」や「水彩画」、「絵手紙」「消しゴムはんこ」「バルーンアート」など、有名人がテーマに沿って作品を制作し、専門家がその才能を査定するバラエティー「プレバト!!」(MBS/TBS)。1月14日放送の3時間スペシャルでは、「俳句」「スプレーアート」「古着リメーク」の3企画が登場です。

今回「スプレーアートの才能査定」に挑む光宗薫さんは、これまで「生け花」「陶芸」「俳句」「水彩画」の才能査定に挑戦。2016年、「水彩画」の査定における初の特待生となり、それから約3年ぶりの出演となった20年8月27日の放送では、ブランクを感じさせることなく名人に昇格。さらに同年9月24日の放送で開催された「秋の水彩画コンクール」ではタイトル戦初参戦にして満点を獲得し、見事優勝という結果を記録しました。

2011年頃から芸能活動の傍ら独学で絵を描き始め、19年には東京・銀座のヴァニラ画廊で個展を開催。こだわりは、無印良品のポリカーボネイトボールペン0.7ミリのみを使用して描くことだといいます。そんな光宗さんに、「プレバト!!」でスプレーアートに挑戦した感想や、作品を生み出すことへの思いをお聞きしました。

「“色”に興味も、こだわりもないんです」

――「水彩画」では野村重存先生をも感服させる作品を制作し、全ての項目が満点という成績でタイトル戦の優勝を飾るなど、優秀な成績を残している光宗さん。今回スプレーアートで作品を制作するにあたって、何か準備はされましたか?

「まず、今までの『プレバト!!』のスプレーアートの回を見返しました。それからSNSのハッシュタグをたどって、ひたすら海外のスプレーアートを探して見てみたんです。でも『どうやって描くの!?』と思うものばかりで。結局どうすればいいかはよく分からないまま、もしかしたら使えるかもしれないと思って、マスキングテープやガムテープ、下敷きを買ったりしました」

――当日の制作時間は8時間半にも及んだとお聞きしました。

「終電ギリギリまで作業しました。結構運動量が激しいんですよ。普段は家で1日中座って絵を描いている生活なので、『あんなに運動した日はいつぶり!? 何年ぶり!?』という感じでした。体を上にも下にも伸ばしながら永遠に単純作業を続けないといけなくて、頭よりも体に疲労感が出てしまって。後半はスプレーを支えていたからか小指がしびれちゃって、それも予想外のことだったので大変でした」

――先ほど収録を終え、査定結果が発表されました。ほかの方の作品やKAZZROCK先生からの評価を受けて、今はどのようなお気持ちですか?(取材は収録後に実施)

「今回、今までの『スプレーアート』の中でもすごくレベルが高いと思います。皆さん本当にお上手だったので、結果発表が楽しみでした! あと査定に関して言うと、スプレーアートは“色”がキーになっている気がしました」

――“色”?

「水彩画以上に、色のバランスや配色が大事なのかなって。私、色にあまり興味がないんですよ。苦手というか、全然関心が持てないんです。普段ボールペンでモノクロの絵を描いているので、色を考える頭がなくて。水彩画でもそこは悩むんですけど、水彩画以上に、スプレーアートは色要素が強いなという印象を受けました」

――昨年9月24日放送の「秋の水彩画コンクール」で光宗さんは東京・日本橋の麒麟の像を描き、アンミカさんや辻元舞さんら出演者全員が駆け寄って注目するほどの作品を制作されました。その絵も言われてみると少ない色で描かれていたと記憶しています。

「本当に、色に興味もこだわりもないんです(笑)。何の色を付けてもあんまりいいと思わないから、正解がないんですよね。スプレーアートも悩みました。そこが難しくもあり、面白いところでもありますね」

「普段描いている絵と『プレバト!!』で披露する絵は、自分の中では全く別物」

――光宗さんは、昔から絵を描くのが好きだったのですか?

「幼稚園の頃から、みんなと一緒に何かをするっていうのが本当に苦手で。その時期から絵を描く時間が増えました。幼稚園でも、休み時間は職員室で園長先生の膝の上に座って絵を描いていたんです(笑)。逃げ道じゃないですけど、今の環境から目を背けたい時に絵を描くようになって。2011年頃からお仕事を始めて、同じタイミングで上京もしたので、仕事以外に何もなかったんです。その間(ま)を埋めるためにさらに絵を描くようになって、2012、13年頃はほとんど引きこもるレベルで絵を描いていました。『絵が好き』というとまたニュアンスが違うんですけど……“絵がないと困る”。幼稚園の頃から、それがないとどうしたらいいか分からないという感覚です」

――「絵がないと困る」という感覚で絵と向き合う中で、「プレバト!!」のようなテレビのバラエティーで披露する作品は、普段描いている絵とは捉え方が異なるのでしょうか。

「自分が普段描いている絵と『プレバト!!』で披露する絵は、自分の中では全く別物だと思っています。基準が“自分がいいと思うもの”というより、“どうしたら先生に褒められるか”というところにありますね。そもそも絵って、ランキングをつけるのが難しいと思うんです。順位はもちろん気になるんですけど、それ以上に私はほかの方の作品を見るのが毎回楽しみで、それが上手か下手かという見方で見るというよりは、『どんな絵を描く人なんだろう?』『もしかしてこういう絵を描くってことは、こういうところもある人なのかな?』って自由に想像しながら見るのが楽しくて! 特に『プレバト!!』に出演されているような有名人の方だと、いくらか(自分に)予備知識がある方ばかりなので、その方の勝手な理解が深まるのがすごく楽しいです」

――今回競い合った出演者の中で、感銘を受けた方はいますか?(1月14日放送の「スプレーアートの才能査定」には、日向坂46・金村美玖さん、野性爆弾・くっきー!さん、ラランド・サーヤさん、鷲見玲奈さん、Kis-My-Ft2・千賀健永さん、千原ジュニアさんが登場)

「千原ジュニアさんの作品は捉えるところも、切り取り方も余すことなくベストな位置で。自分にはない、すてきなセンスだなと感じました。それはくっきー!さんもそうなんですけど、自分なら絶対に『この構図でこれを描こう』って思いもしない作品だったので、面白かったです」

――ほかの方の作品を見る時は、悔しさや対抗心を燃やすというより、自分にはない面白さやリスペクトといった視点で捉えることが多いのでしょうか。

「その気持ちの方が強いんですけど、もちろん負けたら悔しいです(笑)。水彩画も、最初の頃は『うわ! こんな手があったんだ!』とか『ここまでやるのか!』って思うことが多くて。皆さんのレベルがどんどん上がっているし、全員が本気で挑んでいることも伝わってくるので、『自分も頑張らないと』とプレッシャーは感じます。やっぱり1位になりたいので!」

――ライバル視している方はいますか?

「ちょっとライバル視しているのは、辻元舞さんです。辻元さんの作品はバランスがいいし、丁寧なんですよね。自分が出ていない回でも『どんな絵を描いたのかな?』『何位だったのかな?』って気になります」

2年ぶりの個展は「軽気球に乗った、非力で矛盾を抱えた主人公に共感」

――先ほど「普段は家で1日中座って絵を描いている」とおっしゃっていましたが、作品の制作において欠かせないものはありますか?

「ガムを食べながら描くんですけど…。おそらくドン引きされるくらいの量を食べてます。ピーチ味のガムなんですけど、1日中絵を描く日だとそれを20本くらい食べます」

――20粒ではなく、20本ですか!?

「そうです(笑)。スティック1本が14、15粒くらいだったと思うんですけど、それを20本です」

――1日に200粒以上…。

「描きながら、ずっと片手でガムを食べていて。もう包装を破くところから、全部片手でできます(笑)。絵を描いてる時って、体の一部が暇なんですよ。だから何かをずっと食べていたくて、最初は飴だったんですけど、飴は太るし虫歯になるかなと思ってガムに替えました。今はもう、ガムがないと集中できないですね。だからか、近所のコンビニはピーチのガムだけ棚に3列あるんです。私があまりにも買うからか、増やしてくれたみたいです(笑)」

――予想外の回答に驚いています(笑)。そして2月には、2年ぶりとなる自身の個展「メロンタ・タウタ」を開催されますね。エドガー・アラン・ポーさんの冒険小説「メロンタ・タウタ」からインスピレーションを受けての新シリーズとのことですが、どのような思いを込めた個展となっているのでしょうか。

「これまでの個展は自分のことばっかりで、“自分、自分、自分”となっていたなと感じて。そこからちょっと離れたくて、エドガー・アラン・ポーさんの作品を元に、自分の好きな物語に登場するものをメインに描いた個展になっています。自分以外にフォーカスを当てたいという思いから生まれました」

――「メロンタ・タウタ」がどのような物語か、教えていただけますか。

「軽気球に乗った男性が、誰でもない誰かに向けて永遠に手紙を書く話です。その人は世間やいろんなものに対して卑屈な目線を持っているんですけど、だからといって何をするでもなく。ただただ、世間に対して批判的な言葉をつづっているんです。物語の冒頭では誰かに怒っているんですけど、それもたぶん、具体的な対象はいなくて。その手紙を送る対象もいないんです。そんな主人公の非力さにすごく共感したと同時に、自分が絵を描くスタンスにリンクしたんですよ。何かに向けて描いているわけでもない、だけど誰かに対して怒りを感じていて。でも何かを言いたいわけでもない…。そういう矛盾を抱えた主人公を自分の姿に重ねて、『メロンタ・タウタ』の主人公が生きる世界を想像した作品を制作しました」

――今後、絵を描くことに対して、野望として考えていることはありますか?

「もっともっと絵の活動を精力的にやっていきたいです。やったことのない展示をしてみたいという思いもありますし、『プレバト!!』のような、絵のお仕事ももっとやっていきたいです。水彩画も1位を取りたい!!(笑)。私の場合、絵を仕事にするのは全然苦じゃないんです。すごくありがたいので、絵は頑張りたいです!」

――これまでのお話から、勝ちたいという野心はもちろん持ったうえで、「プレバト!!」という番組を楽しんでいらっしゃることが伝わってきます。では最後に、「プレバト!!」の魅力はどのようなところだと感じていますか?

「水彩画やスプレーアートのような“絵”って、『どこを見ればいいか分からない』とか『(自分は)描けないから、分からない』って気後れしてしまう方も多いんじゃないかと思うんです。でも『プレバト!!』って、それが自分勝手な想像だとしても、その人ならではの個性と作品を重ねて見てみることで、楽しさの幅が広がる番組だと思います。誰が上手か下手かだけじゃなくて、『こんなふうに描くんだ! どんな思いで描いたんだろう?』って自由に想像したりして。楽しみ方に決まりはないんですよ。それに『プレバト!!』で披露される作品って、プロのアーティストの方とはまたちょっと違うというか。作品に個性や度胸、勇気があって面白いなと感じることが多いので、好きなように見て、楽しんでいただきたいなと思います」

【プロフィール】

光宗薫(みつむね かおる)
1993年4月26日生まれ。大阪府出身。おうし座。O型。2011年、「神戸コレクションモデルオーディション」でグランプリを受賞。AKB48の活動を経て、女優・タレントなどマルチに活躍。11年頃から芸能活動の傍ら独学でボールペン画を描き始め、19年1月には自身の個展「ガズラー」を東京・銀座のヴァニラ画廊で開催。21年2月6日より、2年ぶりの個展「メロンタ・タウタ」をヴァニラ画廊で開催予定。

【番組情報】

「プレバト!! 才能ランキング」
TBS系
1月14日 午後7:00~10:00

取材・文/宮下毬菜

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