IDC、国内企業は5Gを導入する際に通信料金やカバーエリア等に懸念を抱くと発表

IDC Japan株式会社は「2020年 5G企業ユーザー調査」の結果について発表した。この調査は、国内の企業(従業員数50名以上)にフルタイムで勤務し、携帯電話・データ通信カード・PC関連の導入に関する選定に関与している20~69歳の980名を対象に、2020年10月にWebアンケート方式で実施したものである。同調査は2019年に行った同様の調査の2回目となる。5Gのビジネス利用意向は全体として高い傾向にあり、何らかの形で5Gの利用意向ありとした回答は全体の52.4%と半数を超え、前年とほぼ同様の傾向となった。業種別でみると、情報通信業(同64.4%)をトップとして、建設土木業、製造業など多くの業種で高い利用意向がみられた。

5G利用意向層において、5Gで利用したいデバイスはスマートフォンがトップにあげられており、この傾向は前年と同様だが、ARやVRのヘッドセットは前年より減少する結果となった。携帯電話・スマートフォン等での5G利用を検討している層がその理由としてトップに挙げたのは、前年同様「大容量のデータをやり取りしやすい」という広帯域性であり、5Gのユーザー側へのもう一つのメリットである低遅延性は下位にとどまる傾向が続いた。

同調査では各デバイスで5G利用を検討している層に導入時の懸念を調査したところ、いずれのデバイス導入検討層でも通信の月額料金といったコスト面が上位に挙げられる傾向が続いたが、前年との比較では5Gのカバーエリア等、5Gサービスのパフォーマンスにかかわる要素が順位を上げる傾向がみられた。これは、商用サービスの開始から半年が経過した調査時点においても、5Gのパフォーマンスに関する懸念が強く残っていることを示している。IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原啓氏は「5Gのカバーエリアは着実に拡大を続けてはいるものの、その拡大速度が企業ユーザーの期待する水準に達していないことが明らかとなった。5Gのさらなる普及拡大のためには、その基盤となるカバーエリアの拡大が急務であることは言うまでもなく、NSAモードのみという妥協を行っても5Gならではの広帯域のサービスを1日も早く全国で提供していく必要がある」と結論している。

© 株式会社アールジーン