F1サンパウロGPの開催に暗雲。法的問題で契約が一時差し止め

 コロナウイルス感染症の流行により世界中で制限が続いているために、2021年のF1カレンダーには不確定要素が多い。ブラジルGP(正式名称グランプリ・オブ・サンパウロ)開催が確実でないことが今週明らかになった。ただし、同グランプリを中止に追い込むかもしれない要因はパンデミックというより法的問題だ。

 12月にF1の商業権所有者リバティ・メディアは、サンパウロでのブラジルGP開催契約を2025年まで延長したが、サンパウロ市とプロモーターの間の新たな契約が法的に有効ではない可能性が出てきた。この件については近い将来に裁判官が判決を下すことになる。

 ブラジルの複数の新聞が、月曜に新契約が裁判官によって差し止められたと報じている。問題となっているのはリバティ・メディアがサインした契約ではなく、サンパウロ市と新たなプロモーターのMCブラジル・モータースポーツとの間の契約だ。裁判官によると、適切な入札手続きが行われなかったという。

 サンパウロ市は、MCブラジル・モータースポーツと秘密裏に契約を結び、他の企業やプロモーターには、ブラジルGPをオーガナイズする権利を争うチャンスがなかったと伝えられている。裁判所はサンパウロ市に関連書類を用意するために5日間の期限を与えた。

 MCブラジル・モータースポーツは設立されて間もない組織であり、当然ながらこれほど大規模なイベントを運営した経験はない。入札手続き全体が疑わしいものと考えられており、裁判官が正当なものかどうかの判決を下す。

 1月12日に発表された2021年カレンダーで、ブラジルGPは11月7日に組み込まれているが、予定どおり開催されるかどうかは、判決の結果に左右されることになりそうだ。

2019年F1ブラジルGP コースに押し寄せる大勢のファンたち

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