前ロッテのチェン 阪神入り決定で囁かれる〝一抹の不安〟

ロッテでは無勝利だったが…

新天地にフィットするか――。昨季途中のロッテ加入で日本球界に復帰し、今季は阪神でプレーするチェン・ウェイン投手(35)が活躍できるかどうかには、いろいろと条件が付きそうだ。

中日やメジャーで実績を残した台湾出身左腕は昨年9月にV争い中のロッテに電撃加入し、公式戦4試合に登板。0勝3敗と白星こそ付かなかったが、全4試合でクオリティスタート(先発投手が6回以上を投げて自責点3以下)を達成し、防御率2・42と抜群の安定感を誇った。

ただ、10年ぶりとなるセ・リーグでも結果を残すには「打線の援護」と守備陣の「堅実な守り」が前提となりそうだ。特に後者は7月で36歳となるベテラン左腕の生命線とも言える。現在のチェンの投球は全盛期とは異なり「打たせて取る」が中心だからだ。

昨季の公式戦最終登板となった11月4日のソフトバンク戦での投球が象徴的だった。奪った6回全18アウトのうち奪三振はわずか2ながら、内野ゴロは実に15個。この点からもチェンを生かすも殺すも守備が鍵握ることは明白だが、お世辞にも阪神の守備力は良いとは言えない。チーム失策数は2年連続で12球団ワースト。この守備力が新加入左腕の足を引っ張る可能性は否めない。ある球界OBは「チェンの不安点を挙げるなら本人よりむしろ後ろを守る選手」と断言し、こう話す。

「チェンがロッテで勝てなかったのはチーム打率リーグ最下位(2割3分5厘)という貧打のせいと言われますが、逆にチーム失策数はリーグ最少の53でした。だから白星を量産できなくても、彼は毎試合安心して投球に専念できていたはず。でも、阪神の脆弱な守備ではチェンの信頼を勝ち取るどころか、エラー多発なら本人のやる気を削ぐ可能性もあります。そのあたりが、どう出るかでしょう」

ロッテとは異なり、阪神は人気球団。しかも推定年俸2億円ともなればチェンにかかる重圧は昨季とは比較にならない。その中で守備に不安の残る阪神で期待通りの結果を残せるのか。早くも注目が集まっている。

© 株式会社東京スポーツ新聞社