緊急事態、福岡追加 長崎県への経済影響懸念 感染状況も予断許さず

県内のステージ判断指標の状況

 新型コロナウイルスの感染拡大で福岡県が緊急事態宣言の対象地域に追加されたことを受け、長崎県民からは県内経済への影響を懸念する声が上がった。一方、県内も陽性者は増え続け、県独自の感染段階の6指標のうち緊急事態宣言相当の目安を超えているものもあり、予断を許さない状況だ。
 県によると、12日現在、感染状況を5段階で示す「ステージ」は上から2番目の「4」。だがステージの6指標のうち病床占有率は50.6%と、「5」(緊急事態宣言相当)の目安「50%」を超過。療養者数も1日当たり472人に上り、「5」の目安「495人以上」に迫っている。
 県は感染が急拡大している長崎市内の不要不急の外出や、県外との往来を17日まで自粛するよう県民に求めている。週内にその効果を検証し、さらなる施策が必要か判断。その対応に注目が集まる。
 県中小企業家同友会の金井政春代表理事は「現状でも今後、県内の中小企業が疲弊していくのは間違いない」とし、「福岡県への宣言発令で人の移動が制限され企業活動が縮小されれば、将来的に長崎県内の企業にも影響は出てくるだろう」と指摘する。
 福岡県と経済的なつながりが強い対馬市で定置網漁を営む作元政志さん(45)は「対馬産の寒ブリの多くが福岡市場に出荷されており、昨年春の宣言時のように魚価が下がらないか」と心配する。長崎県にも発令された場合「私も一市民として会食を控えるが、生産者としては収入に響く。どうした方がいいのか」とジレンマを打ち明ける。
 長崎市内で「不安を抱きながら日々働いている」と話すのは介護福祉士の作本陽子さん(42)。政府の一連の宣言発令について「感染が広がっており、もう少し早く出してほしかった」とため息をついた。長崎県にも発令するよう求め「落ち着くまで移動を規制してほしい。悠長にしていると今以上に感染者が増えてしまう」と訴えた。

 


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