【「猫ひた」新年インタビュー特別編】MC・小林且弥に聞く“猫ひた火曜イズム”

若手俳優の潜入リポートが人気を博しているテレビ神奈川(tvk)の情報番組「猫のひたいほどワイド」。このたび、番組が冬休み期間に届けるインタビューの特別編として、火曜MCの小林且弥を直撃取材した。「猫ひた」の各曜日の中でも、特にアグレッシブな印象が強い火曜。そんな火曜の“イズム”に迫るべく、“コバカツ節”全開で語ってもらった。

――本日は小林さんに「猫ひた」火曜のことをお聞きしたく、お時間をいただきました。よろしくお願いいたします。

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

――まず、火曜の特徴として、これまでやってきたMCコーナーの数が多いという印象があるのですが、いかがでしょうか?

「MCが変わっていないのが僕の火曜と三上真史くんの水曜だけなので、確かに多いのかもしれません。でも、水曜と違って火曜の場合は、単純にネタが尽きるんでしょうね(笑)」

――番組開始当初から料理系のコーナーはずっとありますよね。

「そうですね。『精進します』のコーナーも長くやらせていただいていますし、最初の『スムージースムージー』から形態は変われど、現在の『ギュ~っとミラクルサンド』まで、いろいろやっていますね」

――ほかにも「おいしソース」や「ワールドヘルシー」、「タピオカワールド」といったコーナーがあったと思います。

「『おいしソース』ありましたね! あれが一番短かったかもしれないですね。あと『ワールドヘルシー』は、僕は終わったつもりではないんですよ。僕は『ワールドヘルシー』をやってくれとスタッフさんに言っているのですが、全然やってくれないんです。(笑)」

――午後1時台にやっていた「あぶない相談事務所」も面白かったです!

「あれは武藤敬司さんあってのコーナーでした(笑)。武藤さんにも『スースーとストレッチ』のコーナーで3年くらいお世話になりましたね」

――また、火曜には“猫の手も借り隊”のパープル・井深克彦さんがいらっしゃいますね。

「パープルの件はほかの曜日から『火曜だけずるい』と文句が出ているようですが(笑)」

――火曜は特にメンバーの皆さんが個性豊かな印象です。

「みんな、番組に出初めて2~3カ月経過すると、『自分はこうしなきゃいけないんだろうな』『自分を出すためにこうしよう』と考えて前に出てくるようになるので、それが火曜の力になっているのではないかなと思います」

――みんなが番組の発展に貢献している感じでしょうか。

「みんな番組を『面白くしよう』『いいものにしよう』と思って臨んでくれています。僕も5年間やっていて難しいなと思う部分もあるのですが、いろいろ気にして萎縮してしまうよりは、根底に楽しんでもらおうという気持ちを持って臨んでいれば、いいのではないかと考えています。奇麗事かもしれませんが、ミスをしてもそういった気持ちが根底にあれば、それはミスではないと僕は思っています。そのことは気付いた時にメンバーに伝えています」

――火曜の団結力の背景には、そうした精神があるのですね。

「舞台の仕事で僕がずっとお世話になっている演出家さんから教わったことで『何やっても1点』という言葉があります。その方は、昨年の5月に番組で『舞台芸術を未来に繋ぐ基金』を紹介した際に、電話出演していただいた方なのですが、『何をやっても1点』という言葉は舞台だけでなく、テレビ番組も同じだと思うんです」

――「何をやっても1点」という言葉について、詳しく聞かせてください。

「舞台も番組もチームプレーなので、例えば『かっこよくても1点』『笑いをとっても1点』『人にちゃんとパスを出しても1点』、それで合計何点入れられるのかだと思うんです。そして、点を入れるためには、自分にボールが回ってきた時にちゃんと責任を持つことが基本。悪いのはボールが回ってきても責任を持たないこと。表に出る仕事をしている以上、その球を持っている人は(決して無理やりではなく)何かしら自分のパフォーマンスを出さないといけません。それは例えば、若いからとか、僕が年だからとか、そういったことは関係なく大事なことだと考えています。ありがたいことに、火曜はそれを分かっている子たちが初年度から来ているので、それが火曜の色になっているのかなと思います」

――確かに、皆さん積極的に動いている感じがします。

「そうしないと生き残れないという防衛本能が働くのではないでしょうか(笑)。(火曜は)黙っていても、こうだよね、ああだよねってさせないので(笑)。大家族みたいなので。遠慮していたら、おかずなくなっちゃうよという感じです」

――家族という言葉が出たところで、先日は番組内で梶田冬磨さんのご結婚の報告がありましたね。火曜メンバー全員が清川村に集まって祝福した光景は心温まるものがありました。

「見ていただけました?」

――はい。そして、梶田さんはお父さんにもなられるということで。

「梶田は20歳なので、彼が今の僕くらいの年齢になった時に、お子さんは今の梶田くらいの年齢になっているということなんですよ。衝撃ですよ。僕は父親になるという経験をしていないので、彼が父親になることを聞いた時に、何て声をかけていいのか分からなくて。自分が父親になる経験をしていたら、かける言葉も違ったのかなと、僕自身も考えることがいろいろありました」

――清川村のロケの際に小林さんが伝えていた「みんな味方だから」という言葉は、梶田さんにとって心強いものになったと思います。

「届いてくれればいいなと思いました。そして、先ほど話した“責任を持つ”ということを、梶田は一番感じているのかもしれないです」

――そんな感じはありますよね。

「彼は(状況を見て)『たぶん、こういうことなんだろうな』と自分で考えていて、自分にいざスポットが当たった時『ここで、引いたらいけないな』という気持ちの上に力を発揮してくれるんです。なので、梶田に振った時にグッとエンジンがかかるのが分かるんです。20歳でその感覚が分かっているのはいいなと思います。僕は20歳の時に『猫ひた』のような生放送をやらせていただく機会もなかったので。この経験は映画であろうが舞台であろうが、梶田の武器になると思います。舞台でも映像でも根底は変わらないと思うんですよ。みんなで作品をつくるということに関しては。その肌感を20歳で分かっているというのは強いなと思って。うらやましいですね」

――火曜メンバーでいうと、大城光さんも真面目な印象です。

「光は火曜メンバーらしからぬ仕上がった感じですね(笑)。本当に光は真面目ですよ。光自身はもしかしたら、もっとはじけたいという気持ちがあるのかもしれませんが、ほかがはっちゃけている分、自分もそっちにいくとバランス悪くなっちゃうなという気持ちは感覚的にあるのかもしれないですね」

――大城さんは“火曜の良心”といった雰囲気を感じます。昨年のお米作りも頑張っていらっしゃいましたし、今後が楽しみです。

「そうですね。そして、火曜は光に助けられています。彼がいてくれて本当にバランスが取れているので(笑)。ありがたいです」

――年長の大矢剛康さんと石渡真修さんのことも聞かせてください。神奈川県の藤沢市と綾瀬市出身のお二人は、それぞれ地元のPR大使を目指しているようですが…。

「これは完全に彼らの力量不足です(笑)。大矢の場合は地元出身に有名な方がいらっしゃいますし、真修は本人が番組で言っていた通りです(笑)。でも、観光大使になるために孤軍奮闘する彼らの姿もいいんじゃないですか(笑)」

――石渡さんが1年ぶりに番組に戻って来ていかがですか?

「口にもしたくないのですが、ちょっと安心するんですよ(笑)」

――石渡さんのこと、お気に入りですよね。

「推しメンですか?(笑)。それは言われるんですけどね。でもそんなでもないですよ(笑)。ただ、放送を見てくださっている方は気付いているかもしれませんが、スタジオの空気が停滞している時に、口火を切るのは真修なんですよ。真修がいない時は、『停滞するだろうな、あっ、したな、どうしよう』となった際に、『どうしよう』って言っていられないので、誰かしらに振っちゃっていたんです。間を埋めるために。でも、真修がいると、彼が何かしら口火を切ってくれるんで、次の展開を考える時間が作れるんですよ(笑)。真修は“天然”なので何も考えないで『あれれー』といった感じで。それが停滞打破に効いてるんです。」

――石渡さんは親しみやすいキャラクターだと思います。

「みんなそうですけれど、真修は特に人柄がいいというか(笑)。とはいえ彼も28歳になりましたから。1年ぶりに戻って来た時『少し大人になったな』とは思いましたね」

――そして、大矢さんは番組開始以来ずっと一緒ですね。

「5年フルで一緒なのは大矢だけかな? だから『来年はもういいですよ』とプロデューサーさんに言っているんですよ(笑)。でも、何か分からないですけど、毎年メンバー発表になった時に大矢がいるんです(笑)」

――ただ、小林さんと大矢さんを見ていると何だか夫婦みたいだなと思うんです(笑)。大矢さんは小林さんのことをさりげなくフォローしている感じで。

「え、そうですか(苦笑)。何だか、みんなをみんな褒めても仕方がないのですが、たまに放送を見ると、確かに大矢はそんなところはあります。基本的に彼はアベレージ高いんですよ。なので、そこのバランスを自分で取っているというか。アベレージ高い大矢というのもつまらないので、俺がそこを少し崩しにかかるというか(笑)。ただ、アベレージが高いままで行ききらないのが大矢のいいところですよね」

――皆さんのことをもっとお聞きしたいのですが、そろそろ終りの時間も近づいているので、ここで小林さんの2021年の抱負をお伺いできればと思います。

「去年はいろいろなことが思い返されるというか、図らずもさまざまなことが課される1年でした。普通に立っていると後ずさりするようなことが起こる感じの1年だったと思います。今年はそんな去年の経験を無駄にしないために、普通だったら立っていられない状況だったとしても、一歩一歩自分で、自分の力で、自分で考えて、前に進める年にできればいいなと思っています」

――最後に番組サポーターの方へのメッセージもお願いします。

「まずは謝罪をさせてください(笑)。言ってしまえば『猫ひた』火曜は、お昼の生放送の情報番組に一番そぐわない曜日だと思います。『注文したものと違う』と思われることがあるかもしれませんが、申し訳ありません、僕たちはこれしかできません(笑)。僕たちが面白くないと思っていることはやりたくないですし、これしかできないんです。どうしても、味が合わないなと思う方は、月、水、木曜の『猫ひた』を楽しんでください(笑)」

――でも、その火曜を支持している方が多くいらっしゃると思います。

「感謝しかありません。視聴者の方々は寛容なのだと思います。今はテレビの意義だったり、取り巻く環境だったりが、コンプライアンス面やインターネットの動画サービスの台頭などの影響で、昔より複雑になっていると感じます。“テレビは娯楽”と考えられていたかつての概念とは、明らかに変わってきているじゃないですか。その中で、僕たちがやっている『猫ひた』火曜を面白いなと思ってくださる方や応援してくださる方には、100%感謝です。僕は火曜を支持してくださる方の声を、もっともっと大きくできるようになりたいですし、そうでないと“テレビ時代が終わる”くらいの覚悟でやらなくては思っています。僕はテレビ自体がテレビの意義を狭めていく風潮になってしまうのは、危険なことだなと番組開始当初から感じていて、5年前からやることはきちんとやりつつも、何か少し“はねたこと”をやってもいいというスタンスで臨んでいます。テレビの概念は広めにとらないと。『この範囲だけでテレビやってください』というのは『楽しくなくないですか?』と僕は思ってしまうので」

――「テレビの可能性の火を消さないように」という小林さんの思いを感じました。

「ありがとうございます。僕らの火は微々たる火ですけれど、そんな小さな火が消えないようにできればいいなと思います。そのために、火曜の視聴者の皆さまも一緒に、その火を消さないように力を貸していただければと思います。これからも応援よろしくお願いいたします」

――ありがとうございました。

火曜の「猫のひたいほどワイド」は出演者はもちろん、時には番組スタッフも巻き込み、みんなが同じ空気を楽しみながら、プロのパフォーマンスを見せる。メンバーやスタッフが火曜にともす火は、今年も燃え続ける。

【プロフィール】

小林且弥(こばやし かつや)
1981年12月10日生まれ。山口県出身。「猫のひたいほどワイド」火曜MC。出演作に、映画「凶悪」「マエストロ!」「あゝ、荒野」「疑惑とダンス」「初恋〜お父さん、チビがいなくなりました」「のぼる小寺さん」、ドラマ「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」(フジテレビ系)、「チェイス 第1章/第2章」(Amazon Prime Video)、「監査役 野崎修平」(WOWOW)、「広告会社、男子寮のおかずくん」(tvk)、舞台「ウエアハウス-double-」「チャオ!明治座祭10周年記念特別公演『忠臣蔵 討入・る祭』」など。

【番組情報】

「猫のひたいほどワイド」
テレビ神奈川(tvk)
月~木曜 午後0:00~1:30
(午後0:00~0:30はテレ玉、チバテレも放送)
※2021年は1月18日放送開始予定。

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取材・文/大山敬仁

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