鷹のドラフト1位は育っているか? 今宮&東浜を輩出も、乏しい成果…

ソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

2008年以降のドラ1で成功を収めているのは今宮と東浜の2人

12球団にとってチーム編成の根幹を成す毎年のドラフト会議。そこで指名した選手たちが翌年、さらには3年後、5年後のチームを支える存在に育ってくれるかどうかは、球団成績の浮沈を左右する重大事だ。

では、各球団は近年どれだけドラフト1位で指名した選手たちを育て上げることが出来ているのか。希望枠が自由獲得枠が廃止され、ドラフトが現行システムとなった2008年以降のドラフト1位指名選手の成績を検証してみよう。

なお、編集部独自に採点基準を設定。数多く試合に出場してチームの戦力となっているかを計るために出場試合数に応じた得点制とし、10点満点とした。なお、先発、中継ぎ双方で投げた投手には「先発数×2.5」試合で補正をかけることとした。

・野手:100試合、300試合、500試合、700試合、1000試合出場で1点ずつ
・投手(先発):20試合、50試合、75試合、100試合、150試合で1点ずつ
・投手(中継ぎ):50試合、100試合、150試合、200試合、300試合で1点ずつ
・個人タイトル獲得者:4点ずつ(ベストナイン、ゴールデングラブ賞も含む)

今回は4年連続で日本一となっているパ・リーグ覇者のソフトバンクを見ていこう。圧倒的な戦力層を誇り、常勝軍団として名を馳せているソフトバンクだが、ドラフト1位が育っていないとも囁かれている。果たして、その実際はどうなのだろうか?

2011年の武田は2度の2桁勝利も、高い期待にはまだ及ばず

ソフトバンクの2008年以降のドラフト1位で最大の成果と言えるのは2009年の今宮健太内野手だろう。明豊高から入団すると、3年目の2013年にレギュラーの座を奪取。球界を代表する遊撃手となり、ここまで1099試合に出場してベストナイン2回、ゴールデン・グラブ賞5回を獲得している。ここ3年は故障に苦しんでいるものの、満点の10点評価となった。

今宮に続くのは2012年の東浜巨投手だ。即戦力として期待されながら、入団後しばらく伸び悩んでいたが、2016年に9勝をマークして台頭。2017年には16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得しており、採点でも9点となった。昨季も2桁勝利には届かなかったものの、9勝をあげており、現在のソフトバンク先発陣では不可欠な1人になっている。

とはいえ、現行ドラフト制度になってからの12年間でソフトバンクのドラフト1位で大きな活躍を見せているのはこの今宮、東浜の2人だけ。2011年の武田翔太投手は2015年、2016年に2年連続で2桁勝利をあげているが、近年は低迷。その能力の高さは申し分ないだけに、もう一皮剥けてもらいたい存在だ。

2013年の加治屋蓮は2018年に72試合に登板したものの、昨季限りで戦力外通告を受けて阪神へ移籍。2014年の松本裕樹投手は昨季25試合に登板して、ようやく頭角を現し始めたところ。2015年の高橋純平投手、2018年の甲斐野央投手は一昨季に中継ぎとして台頭したものの、昨季は故障もあり1軍登板なし。

2010年の2位指名で入団した柳田悠岐【写真:藤浦一都】

ドラ1がイマイチな一方で柳田ら2位指名選手がチームの中心に

5球団競合の末に加入した田中正義投手は故障続きでここまで1軍登板は11試合にとどまり、2017年の吉住晴斗投手は1軍登板なしのままこのオフに戦力外となり、育成契約で再契約した。加治屋以降のドラフト1位選手は総じて低評価となっている。

ドラフト1位が期待ほど育っていない現状にありながら、球界屈指の戦力層を誇るソフトバンク。千賀滉大投手や石川柊太投手、甲斐拓也捕手、周東佑京内野手ら育成選手の台頭はもちろん、ドラフト2位以下で入団した選手たちが育っているという特徴がある。

柳田悠岐外野手は2010年の2位指名で、守護神の森唯斗投手は2013年の2位、昨季ブレークした栗原陵矢捕手も2014年の2位、昨季先発として頭角を現し始めた笠谷俊介投手も2014年の4位指名だった。層が厚いこともあって、特に高卒選手が台頭してくるまでには5年程度かかっているところも特徴と言える。

最近12年のドラフト1位選手は今宮が10点、東浜が9点、武田が5点となるが、その他は軒並み点数は奮わず。12人で合計36点(満点で120点)と厳しい結果になっている。

【表】活躍を数値化… 現行システムとなった08年ドラフト以降のソフトバンクドラ1を独自検証

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(Full-Count編集部)

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