PCR検体前処理自動化 作業者の感染防止に 長崎大が装置開発 大学病院で3月稼働へ 1日最大1000件

長崎大が開発したPCR前処理自動化装置のモデル機(同大提供)

 長崎大は14日、新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査で必要な検体の前処理を自動化する装置を開発し、3月に長崎大学病院で稼働させる計画を明らかにした。手作業でしている前処理をロボットが代行し、作業者の感染防止や作業の効率化につながり、1日千件の検査が可能になる。
 同大によると、国内のPCR検査の前処理は手作業が主で、関係機関などが自動化の開発を進めている。長崎大が完成させた装置は、ロボットが注射器のような「シリンジ」を使って検体の唾液が入った容器から唾液を抽出し、検査容器に移すなどの工程を自動でする。
 このモデル機を基に協力企業の協和機電工業(長崎市)が装置の製作を進めており、3月までに完成させる。昨年5月に開発に着手し、昨年中の稼働を目指していたが開発が遅れていた。
 1人の手作業では1時間に12件ほどしか処理できないため検査数が伸びず、現在は1日200~300件。装置が稼働すると1時間に96検体、1日約千件の処理が可能になる。
 14日の定例会見で、同大の山本郁夫産学連携担当副学長は「作業者がウイルスに触れずにすみ、感染が防止できるのが大きい」と説明した。

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