メルセデス・ベンツ「車の頭脳」となる新型スクリーンを発表【CES2021】

メルセデス・ベンツは、同社の対話型インフォテイメント・システム

「MBUX」に対応する新型のスクリーンを、CES2021(1月11日~14日 オンライン開催)で発表した。「MBUX Hyperscreen」と名付けられた新製品は、「メルセデス・ベンツがこれまでに作った最大のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)であるだけでなく、美的にも印象的で、操作が非常に簡単で、学習意欲を掻き立てられる、最もインテリジェントなもの(同社のプレスリリースより)」とアピールした。

※インフォメーション(情報)とエンターテイメント(娯楽)を組み合わせた造語。例えばコックピットシステムやカーナビディスプレイにインターネット機能や音楽・映像コンテンツ、各種アプリサービスを加えるなどして、情報と娯楽の提供を両立させるシステム。IVI(In Vehicle Infortainment)と表記することも。

CES2021のプレスカンファレンスで展示したMBUX Hyperscreenは、3つのディスプレイがシームレスに結合しているような構造が特徴。AIを活用して、ディスプレイとオペレーティング・システムをユーザーに適応させ、状況に応じた多くのインフォテインメント、快適性、車両機能をパーソナライズした提案を行う。なお、MBUX Hyperscreenはメルセデス・ベンツの新型EVである「EQS」に搭載予定だ。

メルセデス・ベンツAGの取締役CTOであるサジャド・カーン氏は、「新しいMBUX Hyperscreenは、独自の電気的な美しさと優れた使いやすさを兼ね備えています。決定的な強みは、インテリジェントで適応性の高いソフトウェアに基づいて、すべてのシステムを巧みにネットワーク化していることです。これにより、Hyperscreenは車の頭脳となり、車のすべてのコンポーネントと接続して通信します」と語る。

MBUX Hyperscreen

■インテリジェント機能を強化

さらに、CES2021の展示では、MBUXの新機能を初公開した。「Mercedes Travel Knowledge」と呼ばれるインテリジェント機能は、地図データとその周辺環境を評価し、個々の建物や名所から都市全体に至るまで、ルート沿いの興味深いランドマークに関する多くの情報を提供する。運転手や同乗者は、車で通り過ぎる際に、”Hey Mercedes,”との始動ワード(WuW; Wake up Word)に続いて質問をするだけで、建物・名所などの情報を表示することができる。また、質問に対する情報をそれぞれのディスプレイに表示するだけでなく、音声アシスタントからの回答も行う。

なお、クラウドを介したMBUXの柔軟なアップデートコンセプトによって、この機能はEQSに加え、新型Sクラスでも利用できるようになるとのことだ。

「Travel Knowledge 」機能

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■AIを活用し、パーソナライズ化した情報を表示

MBUX Hyperscreenでは、アプリケーションにアクセスするためにサブメニューをスクロールしたり音声コマンドを入力したりする必要はない。これが、メルセデス・ベンツがこのシステムを「ゼロレイヤー(Zero Layer)」と呼ぶ理由だ。ナビゲーションや電話などの最も重要なアプリケーションは、常に視界の最上層に状況に応じた文脈で表示する。その他にも、アクティブな店舗サービスからTo-doリストの提案まで20以上の機能を、ユーザーにとって適切なものであれば、人工知能の助けを借りて自動的に表示することが可能だ。

MBUX Hyperscreen「Zero Layer」コンセプト
MBUX Hyperscreen – “Zero Layer” concept

サジャド・カーン氏は、「ドライバーの気を散らさず、複雑な操作もなく、AIによって学習できるコンセプトを目指しました」とし、「MBUX Hyperscreenは、お客様をよりよく理解し、ユーザーが何かをクリックする前に、カスタマイズ・パーソナライズされたインフォテインメントやシステムからのオファーを提供することができます」と語った。

[出典:CES2021 プレスカンファレンス/Daimlerプレスリリースより]

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