映画「異邦人」 デジタル復元されたイタリア語版が日本初公開 監督ヴィスコンティ、原作カミュ、主演マストロヤンニ

1968年に日本で英語版が公開されたルキノ・ヴィスコンティ監督作「異邦人」が、「デジタル復元版」として、3月5日より劇場公開されることが決まった。日本で初のイタリア語版での劇場公開となる。

「異邦人」は、不条理の意識を描いて大反響を巻き起こしたアルベール・カミュの原作を、早くから映画化を希望していたというヴィスコンティが監督を務めた作品。フェデリコ・フェリーニ監督「甘い生活」「8 1/2」などに出演したイタリアを代表する名優マルチェロ・マストロヤンニが主演し、ヒロインをジャン=リュック・ゴダール作品に多く出演したアンナ・カリーナが務めている。

日本では1968年に英語版が劇場公開されたあと、1970年代に日本語吹き替えによる短縮版がテレビ放映されたが、複雑な権利関係や映像原版の散逸などの理由でソフト化されることはなく、ヴィスコンティ特集などの限定上映以外は鑑賞する機会がなくなっていた。各映像素材を最新技術によってデジタル復元し、上映が実現した。

原作のアルベール・カミュは、伝染病の恐ろしさを描いた「ペスト」がコロナ禍の状況と似ていることから話題を呼んだことでも知られる。また、「異邦人」の主人公の不条理な言動は、クイーンの楽曲「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞の元ネタという説もある。

異邦人 デジタル復元版
2021年3月5日(金) 新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサにて公開
配給:ジェットリンク
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