【ラグビー】TL開幕延期は自業自得か 今こそ必要な「ONE FOR ALL」な行動

今週末からリーチらが躍動するはずだったが…

まさに“自業自得”ということか。ラグビーのトップリーグ(TL)は16日に予定されていた開幕の延期を発表。複数のチームで多数の新型コロナウイルス感染者が出た影響で12日に開幕節2試合の中止が決定していた中、14日に新たな陽性者が確認されたことが決定打となった。安全な大会運営はもはや非現実的な話となってしまったが、なぜ一部チームで感染が広がってしまったのか。その真相は――。

日本ラグビー協会は12日にキヤノンで24人、トヨタ自動車で13人、サントリーで7人の陽性者が出たため、サントリー―トヨタ自動車(16日、豊田)とキヤノン―リコー(17日、駒沢)の中止を発表していたが、これだけではとどまらなかった。

14日になって日本代表フランカーのリーチ・マイケル(32)が所属する東芝(5人)、神戸製鋼(10人)、NEC(3人)で計18人の新たな陽性者が出たと発表。合計で62人となった。複数チームで感染拡大が止まらなくなり、濃厚接触者も多数に上ることから日本協会は開幕延期という選択を迫られた格好だ。

この日、オンラインで会見を行った日本協会の岩渕健輔専務理事(45)は「濃厚接触者の確定に時間がかかっている。グレーの状態のままで試合をするのは困難」と説明した。新たな開幕時期は2月上旬~中旬を予定しているが、終了は当初予定の5月23日で変更はしないため、新たな大会方式での実施を検討している。

首都圏を中心に感染者が激増。他競技でも陽性者が出ていることが発表されているだけに、TLチームの選手、関係者に陽性者が出てもおかしくはない。だが、その数は明らかに度を越している。となると、なぜここまで広がってしまったのかという話になる。

話を総合すると、一部選手らの自覚の欠如と言わざるを得ない。どのチームも施設内では徹底した感染対策を施しており、協会の見解ではラグビー競技での濃厚接触による感染も起きていないという。その一方でTLの太田治チェアマン(55)は「多くの陽性者が出ており、当該のチームと突っ込んだヒアリングをした上で対策をしていきたい。やはりプライベートというところでの事例はある」と明かした。

つまり、チームメート同士で食事会を開催したときの“濃厚接触”や、不要不急の外出が感染拡大につながった可能性がある。実際、TL全チームを対象に昨年末に行ったPCR検査では、陽性者はゼロではなかったものの、16日開幕に支障をきたすほどの人数ではなかった。

協会サイドはガイドラインの厳格化などの対策強化で、これ以上拡大させない方針を示している。だが、これは全員の意識の向上があってこそ。気持ちが一つにならない限りは、開幕再延期や開幕できないままシーズン中止といったさらなる衝撃的結末が待っているかもしれない。

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