静岡の製紙大手、大興製紙が会社更生法を申請 レンゴーがスポンサー候補へ

 大興製紙(株)(TSR企業コード:440024757、法人番号:5080101008905、富士市上横割10、設立1950(昭和25)年6月22日、資本金1億円、塩川好久社長)は1月15日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し同日、監督命令兼調査命令を受けた。申請代理人には綾克己弁護士(ときわ法律事務所、東京都千代田区大手町1-8-1、電話03-3271-5140)ほか。
 負債総額は債権者310名に対して約140億800万円。

 包装用紙向けクラフト紙を主力とした製紙メーカー。パルプ原料のチップから紙製品まで一貫した生産体制を構築し、包装用紙や産業用紙、クレープ紙など幅広く扱っていた。特に紙袋などに使われる未晒紙は国内トップクラスのシェアを持ち、1985年3月期には売上高198億3590万円をあげていた。2006年9月には投資ファンドが株式を取得して事業拡大を狙ったが、紙需要の落ち込みなどから2010年3月期以降、売上高130億円前後で推移し、伸び悩んでいた。2015年には地元企業や取引先などがファンドから株式を取得。巻き返しを図ったが、パルプ原料の高騰や為替などのデリバティブ損失が発生し、競争激化などから業績が悪化していた。2020年3月期は売上高121億7736万円に落ち込み、固定資産除却損など特別損失が膨らむなどしたため、最終利益は5期連続の赤字となる18億2659万円と業績悪化に歯止めが掛からない状況が続いた。
 金融機関にリスケなどの支援を要請したほか、新型コロナウイルス感染拡大に伴う制度融資などを活用したが、販売不振から回復できず、自力での再建を断念した。
 なお、板紙事業国内大手のレンゴー(株)(TSR企業コード:570222265、法人番号:1120001036880、大阪市北区、東証1部)と「スポンサー支援の検討に関する」基本合意を締結したほか、みずほ銀行や静岡銀行からDIPファイナンスを受け、営業を継続し、再建を目指す。

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