阪神・淡路⼤震災で心のケアに奔走した医師描いた映画 「思いのバトンをリレーするように伝われば」

「心の傷を癒すということ《劇場版》」の劇場公開を前に 映画の舞台となった神戸で15日、本作の企画を担当した京田光広さん(NHK エンタープライズ近畿総支社企画事業部)と、ドラマ版の総合演出の安達もじりさん(NHK 大阪拠点放送局制作部)を迎えたトークイベントが開催された。

「心の傷を癒すということ」は、阪神・淡路大震災から25年を機にNHK大阪放送局で制作されたテレビドラマ。阪神・淡路大震災で自らも被災しながらも、被災者の「心のケア」に奔走した精神科医・安克昌さんの著書「心の傷を癒すということ 神戸・・・365 日」を原作としている。視聴者からの反響が大きく、「心の傷を癒すということ《劇場版》」として劇場公開される。

トークイベントで原作の魅力について聞かれた安達さんが、「安先生の息づかいが心に響きましたし、グサッとやられた感覚がありました」と語り、「私は阪神淡路大震災を直接体験していないので、それをドラマで表現することへの引け目はありましたが、ちゃんと震災と向き合おうと思いました。安先生の関係者の皆さんの話を聞いていると、安先生は本当に魅力的な方だったんだと痛感しましたので、ひとりの人間のドラマとしてちゃんと作りたいと思いました」と、制作にあたって心がけたことを振り返った。

イベントでは、安先生の妻・終子を演じた尾野真千子さんと安先生に扮した柄本佑さんからもビデオメッセージが届いた。尾野さんは「この作品が伝えている温かく優しいメッセージか、ひとりでも多くの方に届いてほしいですし、伝わってほしいと思っています」と語り、柄本さんは「この作品がスクリーンでかかる映画になることで、もうひとつ安先生のご家族にプレゼントできるものが増えたことがとても嬉しいです」と思いを明かした。

尾野さんと柄本さんのキャスティングの話題になると、安達さんは「佑くんと尾野さんが夫婦としてそこにいるような時間がすごく多かったように感じる、素敵な現場でした」と振り返った。京田さんは「ご家族にあなたの役は誰がいいかと聞いてみたんです。その時にピンポイントで尾野真千子さんという名前が上がって、その場で全員がピピっときたんです。見事、最高のコンビでした」と裏話を披露した。

最後に京田さんは「家族愛や夫婦愛、素晴らしい人間愛に満ち溢れた映画なので、そういうことを思いつつ映画の世界に没頭していただければと思います」と、安達さんは「元々安先生のご本から始まった作品ですので、映画をご覧になったら、ぜひ安先生のご本を読んでみてください。思いのバトンをリレーするように、この作品を観ていただいた方に安先生の思いが伝わってくれれば嬉しいです」とメッセージを送り、イベントは終了した。

心の傷を癒すということ《劇場版》
2021年1月29日(金)新宿武蔵野館他全国ロードショー
配給:ギャガ
©映画「心の傷を癒すということ」製作委員会

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