【卓球】男子代表・倉嶋洋介監督が胸中激白「打倒中国を果たして金メダル」

打倒中国に向けて張本が日本卓球をけん引する。顔写真は倉嶋監督

【The インタビュー~本音を激白~(2)】1年延期となった東京五輪は今夏の開催を前に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で再び緊急事態宣言が発令されるなど厳しい状況だ。各競技関係者は開催を信じて調整を続ける中、連載「THE インタビュー」第2回では、卓球男子代表の倉嶋洋介監督(44)が本紙直撃に胸中を激白。コロナ禍で合宿やダブルスの練習が不足している現状を明かしつつも「打倒中国」へ強い意欲を語った。

――新型コロナ禍で五輪へのプロセスが大きく変わった。2020年を振り返って

倉嶋監督(以下、倉嶋)基本的には五輪のスパンとなる4年ごとで強化を進め、計画している中、1年延期は現場としてかなり大きなこと。計画はすべて崩れ、なかなか強化できず不安な一年だったことは間違いない。ただ、我々は五輪が開催される想定で動くしかない。まだあるか分からないが、やれることはしっかりやっていこうという気持ちでいた。

――昨年11月には約8か月ぶりに国際大会が中国で開催された

倉嶋 今回の試合は(日本選手を含む)海外選手が8日とか9日間隔離されて練習ができない期間があった。でも、中国選手は練習できて、ちょっとフェアじゃないなと。卓球は感覚的なスポーツだと思っていて、ずっと部屋にいたら、たとえトレーニングしていても体がなまるし、やっぱり打球しないと調子も崩れる。このような状況で大会を行うことはあまり賛成ではなかった。

――感染対策を徹底すれば不公平感が生まれる。五輪では日本が海外選手を迎える立場になる

倉嶋 コロナ対策をした上での開催はうれしいけど、スポーツは誰もがフェアにやってこそ。そういう意味では落としどころを考えなければ…と思いつつ、やはり条件が同じであればいいなと。トップでやっていても原点は忘れたくないし、国民から愛され、応援してもらえるのがスポーツだと思っているので。

――11日に開幕した全日本選手権(大阪)シングルスは五輪代表の張本智和(17=木下グループ)に期待がかかる

倉嶋 国内大会なので張本に頑張れというのはちょっと…。ただ、過去2年優勝していないので、本人も優勝したいと思っているのではないか。本来であれば東京五輪が終わり(24年)パリ五輪に向けての選手たちが出てきてもおかしくない。(昨年覇者の)宇田(幸矢=19、明大)や戸上(隼輔=19、同)といった若い選手にも注目してもらいたいし、その中で優勝候補の筆頭である張本がどう戦うかが非常に見もの。

――一方、代表合宿の予定が立てられない

倉嶋 全日本選手権が終わると、2月下旬までTリーグが埋まっているので、それまで合宿は予定されていない。Tリーグの試合をよく見ながら選手たちとコミュニケーションを取っていかないといけない。

――感染拡大防止の観点から練習ができていないダブルスについても再開していく

倉嶋 当初は選手同士が密接になることを警戒して練習ができなかったが、合宿が始まればすぐにやりたい。団体戦はもちろん、水谷(隼=31、木下グループ)と伊藤(美誠=20、スターツ)の混合ダブルスも。ダブルスはメダル獲得のカギになる種目だと思っていて、リオ五輪もダブルスが良かったから(男子団体は)銀メダルを手にできた。東京五輪では(団体戦の)第1試合になるので、しっかり強化しないといけない。

――本番まで約半年。目標は一貫している

倉嶋 全種目でのメダルは最低限。その中で打倒中国を果たして金メダルを取るということ。中国を破るのは他の国ではなく、日本しかできないと思っているし、日本がやらないといけない使命的なものがある。東京五輪で卓球界がさらに注目されるような戦いや結果を残したい。

☆くらしま・ようすけ 1976年5月24日生まれ。東京出身。現役時代は全日本選手権ダブルスで優勝3回、混合ダブルスで優勝1回。2012年10月に男子代表監督に就任すると、14年世界選手権団体戦で3位。16年世界選手権団体戦準優勝、リオ五輪団体銀メダル、シングルス銅メダル(水谷隼)に導いた。その後も17年世界選手権混合ダブルス準優勝(吉村真晴、石川佳純組)、18年W杯団体戦準優勝、19年W杯団体戦3位など監督として好成績を収めた。

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