張本智和、及川瑞基と同じクラブで汗を流した“張本世代”のサウスポー星優真の躍進

<2021年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)、2021年1月11日~17日>

全日本男子シングルス準々決勝の舞台で、張本智和と及川瑞基(ともに木下グループ)が対峙した。両選手は張本の父・張本宇さんが代表を務める仙台ジュニアクラブ出身だ。幼少期から練習をともにした両者の対決は、先輩の及川が張本を下す金星を挙げた。

今大会、及川、張本の他にもう1人、仙台ジュニアクラブ出身の選手が飛躍を遂げていた。

張本の同級生、東山高校2年の星優真だ。

写真:星優真(東山高)/撮影:ラリーズ編集部

“張本世代”のサウスポー星優真

3歳で卓球を始めた星は、地元宮城県の仙台ジュニアクラブで腕を磨いた。張本が東京のエリートアカデミーに行くまで切磋琢磨し、2015年の全日本カデットでは張本とのダブルスで3位に入賞している。

写真:星優真(東山高)/撮影:ラリーズ編集部

中学3年生まで同クラブで過ごし、星は高校1年生からと京都の強豪・東山高校に進んだ。星はすぐに頭角を現した。1年生ながら春秋の近畿大会でシングルス、ダブルス、団体戦の計6冠を成し遂げたのだ。

しかし、更なる飛躍が期待されたこの1年は、新型コロナウイルスの影響でインターハイを含む各大会が中止となった。「この1年間はコロナの影響で本当に難しかった。でも、卓球ができるときには全力で練習した。この全日本で結果を出したいという気持ちでした」。大会がなくても星は腐らず、努力を積み重ねてきた。

写真:星優真(東山高)/撮影:ラリーズ編集部

迎えた全日本選手権、星の卓球が花開いた。

ジュニアでは第1シードを下す活躍

写真:星優真(東山高)/撮影:ラリーズ編集部

大会二日目、ジュニア男子シングルスに登場した星。4回戦で昨年のジュニア王者で、全日本開幕直前にはTリーグ・岡山リベッツ入りが発表された吉山僚一(愛工大名電高)と対戦した。

写真:星優真(東山高)/撮影:ラリーズ編集部

パワーある両ハンドドライブを得意とする吉山に対し、星はこの1年磨いてきた“速さ”で勝負した。星は、王者の圧に屈することなく、打点の早い両ハンドドライブで畳みかけた。

結果、1ゲーム目こそ落としたものの、見事第1シードを撃破した。「勝因は2ゲーム目以降、自分から攻めていけたこと。それが勝ちに繋がった」と吉山戦を分析した。

写真:吉山を下し宮木監督と肘タッチを決める星優真(東山高)/撮影:ラリーズ編集部

しかし吉山を下した時点ではベスト16。今大会の目標であったランク入りには、続く5回戦を勝利する必要があった。

大会三日目、朝一の試合で星は、5回戦のコートに立った。少し緊張感も見えたが、芳賀世蓮(鶴岡東高)を相手にゲームカウント3-1で勝利しベスト8。初のランク入りを成し遂げた。準々決勝では同じサウスポーの岡野俊介(愛工大名電高)に敗れはしたものの、第1シードを下し、価値あるランク入りとなった。

写真:表彰台は岡野俊介(愛工大名電高)に阻まれた/撮影:ラリーズ編集部

周りの支えで掴み取った自信

今大会の好成績の要因を聞くと「たくさんの方々の協力だと思います」と返ってきた。

写真:星優真(東山高)/撮影:ラリーズ編集部

「この状況の中で(東山高校卓球部の)宮木先生が、大学生を練習に呼んでくださったり、大学へ練習に行かせてもらったり、できる限りのことをしてくれた。OBの方々からもアドバイスをもらった。本当にたくさんの方々に感謝しています」。

写真:星優真(東山高)のベンチに入った宮木操監督/撮影:ラリーズ編集部

星は、一般の部でも3回戦まで進出し、御内健太郎(シチズン時計)に競り合うも惜しくも敗れた。奇しくも御内は、その後6回戦で張本とフルゲームまで追い詰める大激戦を演じた。

星は以前、張本についてこう語っていた。「自分も上を目指して、全日本などで戦えたらいいな」。

今や日本のエースに成長した同級生の張本と仙台ジュニアクラブでともに汗を流し、中学からはその背中を追い続けてきた。

周りの支えで掴み取った自信と、世界で活躍するという目標を胸に、これからも星は張本の待つ大舞台で戦うべく努力を続ける。

ジュニア男子シングルス結果

2回戦

〇星優真 3-0 住友祐介(城南高)
11-6/11-5/11-4

3回戦

〇星優真 3-0 鈴木生吹喜(東奥学園高)
11-9/11-7/11-5

4回戦

〇星優真 3-1 吉山僚一(愛工大名電高)
6-11/11-8/11-8/11-6

5回戦

〇星優真 3-1 芳賀世蓮(鶴岡東高)
11-8/11-4/10-12/11-5

準々決勝

星優真 0-3 〇岡野俊介(愛工大名電高)
9-11/8-11/8-11

男子シングルス結果

1回戦

〇星優真 3-0 吉田俊暢(中央大)
11-8/11-8/11-9

2回戦

〇星優真 3-2 山下晃人(湘南工大附高)
11-13/11-8/11-13/11-6/11-9

3回戦

星優真 1-3 〇御内健太郎(シチズン時計)
11-13/10-12/13-11/7-11

文:ラリーズ編集部

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