「こんな斜面で大変な思いをして働いているのに、なぜ林業はもうからないのだろうか」。これは、本校の探究的な学びの生徒チームが自ら森林体験イベントに参加して、専門家と対話しながら発した問いだった。このとき、「斜面を歩きやすい靴の開発」「もうかる林業に向けたビジネスプラン」などのアイデアを考えた。
地元の森林組合の皆さんと対話をする中で、着目したのは森林への投資。「国内外から林業への投資を呼び込むモデルを創りたい」という意志が芽生えた。さらに、海外研修では台湾やシンガポールの人々と英語で森林への投資について議論し、現地調査も行った。
この結果を基に、森林投資への考え方に対するより議論を重ねたり、宮崎大学の先生方に助言を受けたりしながら、林業を持続可能とする独自の投資モデルを創り上げ、ポスターにまとめた。
生徒が堂々と日本語・英語のポスターで発表している姿は、テーマと向き合った時間とその深さに裏打ちされていた。多様な人々との出会いと経験が生徒たちを成長させてくれたと感じた瞬間である。
これらは、本校文科情報科で取り組んできた「探究」におけるあるチームの記録である。この学びでは、未知の問いを自分たちで見いだす。このため、われわれ教師はその答えは知らない伴走者である。解を求めて、多様な人々の出会い、対話と協働を通して、解を導く過程(学び)に価値があると考えている。(教諭・木塲(こば)康典)=日曜日掲載=