日大藤沢高・鈴木 J1徳島入り 「がむしゃらに上へ」 少ないチャンスつかむ

全国高校選手権の県予選準決勝は途中出場で1得点をマークした=昨年11月8日

 神奈川育ちの大型FWがコロナ禍の少ないアピールチャンスをものにして、念願のプロ入りを勝ち取った。J1徳島に加入する日大藤沢高3年の鈴木輪太朗(ワディ)イブラヒーム(17)は「徳島でサッカーをするのがめちゃめちゃ楽しみ。がむしゃらに上を目指したい」と胸を躍らせている。

 ガーナ出身の父を持ち、192センチ、85キロと文字通りスケールの大きなストライカーだ。

 「ヘディングは苦手」と照れ笑いするが、ピッチでの存在感は別格。生まれ持った武器を生かしたポストプレーだけでなく、ゴール前でのしなやかな身のこなしも光る。中学時代は横浜FCの育成組織に在籍。高校入学後に頭角を現し、昨年12月 にはU─18(18歳以下)日本代表候補に入った。

 プロ入りは、一度は諦めかけた夢だった。昨年は新型コロナウイルスの影響で、Jクラブの強化スタッフが視察に訪れる関東大会や全国高校総体(インターハイ)が次々と中止になった。

 鈴木も強豪大学へ進む予定だったが、佐藤輝勝監督(42)から「プロが興味を持ってくれているみたいだぞ」と助言を受け、大学への返答期限直前まで悩んで挑戦を決意。「大学卒業後に目指すのもプロ。4年後にチャンスが来るとは限らない」と目の前の可能性に懸けることにした。

 「おまえは日本の宝になる」。高校入学時から大きな期待をかけてくれた指揮官は、スカウトの参考になるような鈴木のプレー動画をまとめ、プロチームに熱心に売り込んでくれたという。昨秋に左脚を負傷し、全国高校選手権の県予選では十分な出場機会を得られないまま準決勝で敗退したが、複数のJクラブから練習参加の打診を受け、今月4日に徳島入りが決まった。

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