今年1月1日現在、新成人は124万人!若年有権者層の投票行動について観察する。(データアナリスト・渡邉秀成)

2020年12月31日 総務省統計局の発表によると、2021年1月1日現在における新成人は124万人になるそうです。 (今年の新成人は平成12年(2000年)生まれ、男性は64万人、女性は60万人)*1

2021年の本年は新型コロナウィルスの影響もあり、安全確保の観点から成人式を取りやめる自治体もでました。

今年成人を迎える人が誕生した2000年は、コンピュータの日付処理に関連する誤作動が起こるのではないかと不安視された2000年問題があった年です。また、今年新成人を迎える人々の多くは、物心ついた頃からインターネットを利用できる環境が整いつつある年代でもあります。

そこで今回はそのような若年有権者層の投票行動や投票する際に考慮する内容について観察していきたいと思います。

まず若年有権者層の政治意識について課題に当たるのが投票率です。若年有権者層の投票率が低いという問題です。総務省資料から約50年前の第32回衆議院選挙、第48回衆議院選挙、第8回、第24回参議院選挙の年齢別投票率データを用いて実際に若年有権者層の投票率が他の年齢と比較してどの程度低いのかについて見てみます。

下のグラフは全体投票率から何ポイント程度投票率が離れているかを示したものです。全体投票率が0でそこからマイナスポイント方向に離れる場合は青色、プラス方向に離れる場合はピンク色で表示しました。

 

昭和40年代の投票率結果をみても、若年有権者と呼ばれる層の投票率は低い傾向にあることがわかります。

ただ、この総務省データは抽出調査でもありますが、現在ほど若年有権者層の投票率は低くないような気もしますがいかがでしょうか?

次に若年有権者層が国や地方の政治をどの程度信頼しているかという調査を公益財団法人明るい選挙推進協会が実施しています。この調査結果をグラフにしたものが下記になります。

とても信頼している、だいたい信頼しているを合わせて約20%。あまり信頼していない、全く信頼していないを合わせて約65%です。

若年有権者層は国地方政治に対する信頼度が低い傾向にあることがわかります。
3年経過した調査結果ですが、若年有権者層の政治に対する信頼性はなかなか高まりそうにありません。グラフの形にほとんど変化がないのが特徴的です。

続いて若年有権者層が投票に際してどのようなことを考慮して投票したのかについて見てみます。若年有権者のグラフは色を水色にしました。

これらのグラフをご覧いただくとわかるように、若年有権者層が投票の際に考慮する内容として、景気対策、子育て教育上位に来ています。
いま若年有権者層のライフサイクルから考えてると、当然であると考えられる内容が上位に来ています。

新型コロナウィルス関連で企業による就職内定取り消しの動きや、採用抑制がどの程度の期間続くのかわからず、不安な日々を過ごしている人は少なくないと思われます。

若年有権者層に限らず、景気対策等の生活に直結する課題は、有権者の大きな関心事項です。

そしてインターネットを利用して海外の国々と日本の新型コロナウィルス対策を比較している有権者も多いので、今年執行される予定の衆議院選挙では、昨年、2020年1月からの新型コロナウィルス感染対策等に関する国の動きを若年有権者を含め、さまざまな立場に置かれている有権者が、どのように考えているのかが選挙結果に大きく影響するのかもしれません。

今回は若年有権者の投票行動や投票にする際について考慮する内容について見てきました。

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