もっちぃ駅長大人気、フラワー長井線Zoomツアー参加レポ

2021年1月9日(土)、主にWeb会議などで使用されるアプリケーション「Zoom」を使用したバーチャルツアー「第二回 冬のフラワー長井線オンライン乗車ツアー ~もっちぃ駅長と熊野大社で初詣!~」が行われました。

旅行を企画・実施するのは(一社)やまがたアルカディア観光局。山形鉄道や(一社)飯豊町観光協会、南陽市観光協会なども協力し、フラワー長井線の沿線を旅しながら土地の特産品を紹介するというもので、今回の主役は宮内駅のうさぎ駅長「もっちぃ」。2020年9月に実施された第1回目のバーチャルツアーで「もっちぃ駅長に会いたい」という声が多数挙がったこともあり、2回目の実施につながりました。

参加者は30名ほど。参加者は参加費として観光局ホームページから”沿線の美味しいもの”と”フラワー長井線のグッズ”を購入しており、配送された美味しいものをつまみながらZoomに接続、その産地をバーチャルで訪れるという仕組みです。本稿では実際に行われたZoomツアーの様子をダイジェストでお届けいたします。

(※参加者の顔を避けてトリミングしている関係もあり、本記事の画像は縦横比に多少ブレがあります。ご了承ください)

国鉄時代から続く西大塚駅からスタート

バーチャルツアーは雪に覆われた西大塚駅から始まる

スタート地点はフラワー長井線の西大塚駅。国鉄時代から続く由緒ある駅舎です。フラワー長井線の有人駅は17駅中4駅のみで、西大塚駅にも駅員は配置されていませんが、地元の方々によって美しい駅舎の姿が維持されています。駅舎内に設置されたノートには来訪者の書き込みが溢れ、現在では6冊目。そんな西大塚駅から列車に乗り込み、宮内駅へと向かいました。

昭和47年までSLが運行されていた
西大塚駅舎は無人駅で、地元の方々が駅運営に協力している 看板も地元の方が設置したもの
駅舎内のノートは6冊目 訪れた方のメッセージやイラストなどが描かれている
山形鉄道では列車の点検整備なども運転士が行う

もっちぃ駅長、大人気

今ではラッシュ時を除き1両編成での運行が基本のフラワー長井線ですが、国鉄時代には何両も連結した熊野大社への参拝列車が走っていました。宮内駅の長いホームに当時を偲ぶ方もいらっしゃるかもしれませんね。

宮内駅といえば「うさぎ」の「もっちぃ駅長」が有名。御年10歳、人間の年に換算すると70歳という高齢ながら、今も立派に駅長を務め多数のファンを獲得しています。

長い長い宮内駅ホーム、説明によればこの柱はレールを使用したものだとか
宮内駅ではグッズ販売等も行う

ツアーではもっちぃ駅長への質問や、ぬいぐるみ・福袋などが当たる抽選会なども行われ、チャット欄がツアー中一番の盛り上がりを見せました。ユニークなのは抽選会の仕組み。本ツアー参加者には事前に特産品や山形鉄道グッズと一緒に抽選会の番号を書いた紙が送られています。抽選会では宮内駅舎内に番号付きの人参をぶら下げておき、もっちぃ駅長が何番の人参を食べたかで当選者が決まります。なお、肝心のもっちぃ駅長はお腹がいっぱいだったのか、二本の人参にタッチしただけで、三等から先は駅員さんが抽選箱から選ぶ形に。これもまたリアルタイム配信の醍醐味で、そんな様子も可愛いとコメントが集まりました。

うさぎのもっちぃ駅長への質問タイム
抽選会の様子 もっちぃ駅長が選んだ人参と同じ番号の方にプレゼントが贈呈される
可愛い

特産品の紹介や熊野大社へのバーチャル初詣も

宮内駅から熊野大社へ レポーターも交代し、紹介を挟みながら初詣へ向かう

宮内駅からは熊野大社へ初詣に向かいます。レポーターも切り替わり、道すがら地元で有名な建築物やお店をご紹介。参加者の手元にある特産品を実際に作っているお店を訪れ、インタビューを敢行しました。この紹介タイムでは、通販で買いたいという参加者のために特産品やお店の紹介ページがチャットに貼られたり、参加者からの質問にお店の方がリアルタイムで回答するなど、双方向性のコミュニケーションツールを活用した交流が見られました、

東の麓酒造 アルコールセットを頼んだ参加者はここのお酒を飲みながら見ています
宮内ハム サラミソーセージは柔らかくてお酒のつまみにも最適だとか

熊野大社では禰宜さんと一緒に歩きながら茅の輪や拝殿を紹介。コロナ対策にも触れています。たとえば手水からひしゃくを撤去して代わりに桜の花で彩ったり、拝殿の椅子の間隔を広げたり、1月に予定されていた様々な催しを4月以降に延期したり。分散参拝のお願いもあってか、三が日の参拝者数は例年の6割ほど。日をずらして参拝される方もいらっしゃるようで、周辺住民と手を取り合って対策をしている様子が伺えました。

熊野大社の大鳥居や茅の輪などを紹介
バーチャル初詣の様子 麻縄などはコロナ対策で外されています
参加者の手元にも届くオリジナルの御朱印 山形鉄道やもっちぃ駅長のイラストも

手軽に参加でき、満足度も高いツアー

JR東日本の「しょこら」駅長とのツーショット写真も

バーチャルツアーはその後、宮内駅へ帰ってきておしまい。もっちぃ駅長にさよならを言ってお別れとなりました。およそ3時間ほどの長丁場ではありましたが、大きなアクシデントもなく、チャット欄は好意的なコメント・もっちぃ駅長への応援コメントのほか、羽前小松駅の「しょこら駅長」とのコラボツアーも検討しませんか? といった要望もありました。主催者と参加者の距離が近く、ご家族で参加された方もおり、とてものどかで平和なツアーだったように思います。

1都3県の緊急事態宣言や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で旅行にも出かけづらい状況が続いていますが、バーチャルツアーなら参加しても何の問題もありません。主催する側としても番組を制作したり旅行プランを組むよりはハードルが低く、金銭的な負担も抑えられるでしょう。試みとしてはまだ小規模であるものの、コロナ収束後も通用するやり方ではないか、と見ています。

文/写真:一橋正浩

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