米核実験に怒りの声 長崎の被爆者「核禁条約に水差す」

 核兵器禁止条約の発効が今月22日に迫る中、トランプ米政権が臨界前核実験を昨年11月に実施したことが明らかになったことを受け、長崎の被爆者は16日、「許し難い」「条約発効に水を差す行為」と怒りの声を上げた。
 核実験のたびに長崎市の平和公園で抗議の座り込みを続けている「核実験に抗議する長崎市民の会」の山川剛代表(84)は「時期的に意図的なものを感じる。いつにも増して腹立たしい」と憤慨。「政権交代前の最後っ屁(ぺ)だ」と皮肉った。今回の核実験を受けた抗議の座り込みを近日中に実施する予定だ。
 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(80)は「平和を願う世界中の思いに逆行している」と反発。新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるう中での核実験に「こんな時期に軍事力に資金を投入するなんて」とあきれた様子だった。
 中村法道知事は「平和と核兵器廃絶を求める世界の多くの人々の願いに逆行する。誠に遺憾」とのコメントを発表。事実関係を確認した上で米国へ抗議するとし「核兵器の維持存続や開発につながる一切の核実験をすることがないよう求める」と強調した。

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