「虎の遊撃手争い」最終ジャッジを川相臨時コーチに託す手も

守備練習を行う小幡(左)と木浪

どうせなら〝特別講師〟に選んでもらうのも妙手かもしれない。就任3年目の矢野阪神で注目のポイントは「誰が正遊撃手の座をつかむのか」。阪神では2016年の鳥谷(現ロッテ)を最後に遊撃で1シーズンにスタメン出場100試合以上の選手は出ていない。

候補となる内野手は4人。昨季84試合でスタメン出場し、レギュラーに最も近い木浪聖也(26)を筆頭に、高卒2年目ながら遊撃で昨季26試合に先発した若手有望株・小幡竜平(20)や、即戦力の呼び声高いドラフト6位新人の中野拓夢(24=三菱自動車岡崎)、かつてレギュラーをつかみかけた北條史也(26)も経験豊富で巻き返しに燃えている。

誰が頭ひとつ抜け出してもおかしくない正遊撃手争いだが、今春キャンプではその目利きにうってつけの存在がいる。臨時コーチを務める川相昌弘氏(56)だ。

新人の中野を除く他の候補選手についてはすでに矢野監督も含め、久慈・藤本の両内野守備担当も二軍下積み時代から育成に関わってきた。それだけに現在に至る各々の過程をもとにした〝先入観〟が入りやすくなってしまうのも事実。その点でも、コーチ会議などで「誰を遊撃のレギュラーに?」との話になった場合に、川相氏ならこれまでにない見解を披露することも可能だ。

2005年以来のリーグVを目指す上で、遊撃の固定は欠かせない。近年のセ・リーグを見渡しても2連覇中の巨人には坂本勇人(32)、年まで3連覇した広島には田中広輔(31)が不動のレギュラーとして君臨してきた。チーム事情に詳しい関係者も「去年は特に矢野監督が捕手に梅野、坂本、原口と複数を起用しているのをメディアが『固定しないの?』って論調だったが、それは巨人も同じ。炭谷、大城、岸田、小林と複数の捕手を起用していた。外野も巨人に丸がいるなら、ウチには近本がいる。違ったのがショート」と声を大にする。

阪神も直近3度のリーグV時を振り返ると1985年は平田勝男(125試合)、03年は藤本敦士(126試合)、05年は鳥谷(146試合)と不動の存在がいた。ゴールデン・グラブ賞通算6度受賞の「守備の達人」のお眼鏡にかなうのは誰か――。

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