石川佳純は「女子卓球界の柱」 ラリーが苦手な美誠の弱点強化にも貢献

石川は復活優勝を果たした

後輩の壁になった――。卓球の全日本選手権最終日(17日、丸善インテックアリーナ大阪)、東京五輪代表の石川佳純(27=全農)が女子シングルス決勝で同代表の伊藤美誠(20=スターツ)を4―3で破り、5年ぶりの優勝を果たした。悲願達成に涙した石川。伊藤のさらなる成長をも促す、価値ある勝利だった。

近年は台頭著しい若手選手に敗れることもあったが、“限界説”を自ら吹き飛ばした。石川は「自分自身、もうダメなのかなとか、プレースタイルや年齢をマイナスに考えてしまうときもあって落ち込むこともあった」。それでも、家族やコーチの「自分の可能性を信じて」との言葉に勇気づけられ「最近はすごく楽しく練習ができているし、自分がやりたいようにやればいいと思えるようになりました」と胸を張った。

日本女子のエースに成長した伊藤に貫禄を見せた中、日本卓球協会の宮崎義仁強化本部長(61)は「日本女子で天才的にラリーが強いのが石川。その土俵に伊藤が乗ったということだが、これは伊藤が石川を目標にしているのではなく、打倒中国を目標にラリー力を強くしようとしているから」と分析。速攻を得意とする伊藤の苦手なラリー戦で石川が勝ったことに大きな意味があるという。世界ランキングで日本人最上位の3位につけ、世界最強の中国超えで先頭に立つ伊藤に、さらなる進化の重要性を痛感させたからだ。

プレーで後輩の壁になる役割を果たした石川は、半年後に迫った本番では、代表チームの精神的支柱としても期待される。2012年ロンドン五輪で初出場。東京大会は3度目の夢舞台だ。さまざまな経験を積んできた27歳に、女子代表の馬場美香監督(55)は「五輪ではどんなことが起こるか分からない。(石川は)何か起こったときにチームをあらゆる面で支えたり、いい方向に導いてくれるような、そういう行動や言葉掛けができる選手」と大きな信頼を寄せた。

新型コロナウイルス禍で今夏に五輪が開催されるかは不透明となっているが、石川は「卓球を20年やってきて、私にとって東京五輪は最高の舞台なのですごく出たいし、あると信じています」と大舞台でのフル回転を熱望した。

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