『越前古窯博物館』で越前焼の歴史に迫る!施設情報レポート

福井県の伝統工芸品の一つ『越前焼』の資料館『越前古窯博物館』とはどんなところなのか、ご紹介します。

越前焼とは

昭和61年に通商産業省(現経済産業省)から伝統工芸品の指定を受けた焼き物『越前焼』。
信楽焼や備前焼と並び、日本六古窯(こよう)に数えられています。

定義は「福井県丹生郡越前町の宮崎地区、織田地区で、地元の土を使って作った陶磁器」であり、釉薬を使わないことによる独特の風合いが特徴的です。

越前焼の詳細はこちら>>『越前焼』とは?特徴・歴史&工芸品ではなかった驚愕の過去!?

越前古窯博物館とは

福井県越前町にある『越前陶芸村』。
越前焼の歴史や作品の展示、陶芸体験などを楽しむことができる施設ですが、その敷地内に2017年秋にオープンしたのが『越前古窯博物館』です。

越前焼の研究に生涯をかけた水野九右衛門氏の旧宅を移築・復元した建物を中心に、資料館、茶室などが備えられた施設です。

越前焼の歴史が深く理解できるこの博物館。
実際に訪ねたので、その見どころを徹底解説します。

越前古窯博物館の施設① 旧水野九右衛門家住宅

博物館の中央、門をくぐってすぐに目に入ってくるのが、旧水野九右衛門家住宅です。

切妻屋根の美しい住宅

切妻屋根が特徴的なこの住宅は、天保6(1835)年に建てられたとされています。

築180年以上にも関わらず、2階部分の白壁と黒い柱のコントラストはモダンにも感じられました。
このような住宅は越前町内に多く見られ、江波地区にあるものは、美しい日本のむら景観百選『切妻屋根群』にも認定されています。

建物の中も歴史と趣が感じられ、特に丁寧な細工が施された欄間はいつまで見ても飽きないほどでした。

座敷の奥にある空間は〇〇のため!?

驚いたのが、奥の座敷のそのさらに奥にある、4畳の空間。

床も一段高くなっていますが、この場所、何のためのものかわかりますか?

実は奥の襖を開けると、仏壇が入るようになっているんです。
この4畳のスペースは、法事などの際にお坊さんが座る場所とのこと。

仏教への信仰が深い福井県は仏壇が大変大きく、このように収納するスペースが取られていることもあるのですが、一段高くなったスペースがわざわざ作られているのは珍しいそうです。

一見の価値あり!傘天井

さらに『囲炉裏の間』には、美しい傘天井が。

こちらは、昭和に入り改装した際に新しく作られたものです。
美しくも迫力があり、多くの人がここで足を止めて天井を眺めていました。

越前古窯博物館の施設② 資料館

旧水野九右衛門住宅の右隣には資料館があります。

全国で「10個の壺を選ぶなら?」という質問(日経新聞者)に対して選ばれた、貴重な鎌倉時代の越前焼の壺

茶色っぽい色が多い越前焼ですが、明治時代以降は色がついたものも作られるようになりました。
鮮やかできれい!

数々の名品にため息が出るほどでしたが、その中でひときわ目立っていたのは、意外にもこちらの焼き物でした。

詳細はよくわかっていないそうですが、どうやらたぬきをかたどった焼き物らしく、お店の看板に使われていたのでは?とのこと。
手の部分に穴が空いているので、ここに何かを持っていたようです。

資料館は、1階には越前焼の歴史がわかる水野コレクションの展示、2階は水野氏が発掘調査した古窯址や収集した破片の展示、生前大事にしていたカメラなどが展示されています。

企画展示室では年に数回企画展の実施も予定しているとのこと。
茶器やツボなど、焼き物に興味がある方は要チェックです!

越前古窯博物館の施設③ 茶室

茶室・天心庵

旧水野九右衛門住宅の奥には天心庵、隣には天心堂という茶室があります。
設計を手掛けたのは、京都の桂離宮などの伝統建築保存に尽力した建築家・中村昌生氏。

天心堂には、越前塗り越前和紙、越前指物など、福井の伝統工芸や技が随所に散りばめられているので、こちらも必見です。

茶室・天心堂

旧水野九右衛門家住宅の和室、茶の間、天心庵、天心堂は、一般の方も予約すれば利用可能なので、お茶会などに利用してみては?

越前焼の重要な歴史がわかる越前古窯博物館。
越前陶芸村に行く際は、ぜひ足を運んでみて下さい。

施設情報は以下でご紹介しています。

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