コロナ禍による収入減で、厚生年金保険料の支払いが苦しい…。厚生年金保険料の変更はいつから反映される?

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厚生年金の保険料はどう決まっている?

厚生年金の保険料は標準報酬月額と等級によって決まっています。標準報酬月額と等級は実際の給与額を基に、一定額ごとに区切って設定される指標です。

例えば、令和2年9月以降の例で計算すると、月の給与が31万円の人の標準報酬月額は32万円となり、等級は20に該当します。等級が20の場合、厚生年金の保険料は5万8560円(本人負担分は2万9280円)となるといった感じです。

標準報酬月額の特例改定について

基本的に厚生年金の保険料は4月から6月の給与を基にした標準報酬月額により決定され、そこで決定された保険料を9月から翌年8月までの保険料として支払っていきます。これを定時決定といいます。

また、年の途中で保険料が変わる随時改定という仕組みもありますが、これは給与の変動から4ヶ月目に保険料が変わるため、例えば給与の大幅な減額があった場合、その間の保険料が重くのしかかります。

そこで2020年4月から、新型コロナウイルス感染症の影響による休業などで給与が著しく下がった方について、事業主からの届け出により翌月から保険料が改定される標準報酬月額の特例改定という仕組みが導入されました。

これにより、給与が下がったときに翌月からすぐに保険料も下がり、負担が軽減されるようになりました。現在、標準報酬月額の特例改定の適用を受けるには、給与が下がった時期や既に適用を受けたことの有無により下記のような要件が求められます。

2020年8月から2021年3月までの間に新たに休業により報酬が著しく下がった方の特例(急減月の翌月を改定月として標準報酬月額を改定)

2020年8月から2021年3月までの間に給与が下がった方の場合、先述の説明どおり、給与が減少した月の翌月に保険料が減額されます。そのためには次の要件を満たすことが必要です。

  • (1)新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことで、2020年8月から2021年3月までの間に給与が著しく下がった月がある
  • (2)著しく給与が下がった月に支払われた給与の総額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がった
  • (3)本特例措置による改定内容に本人が書面で同意している

2020年4月または5月に休業により著しく報酬が下がり、特例改定を受けている方の特例(8月の報酬の総額を基礎として算定した標準報酬月額により、定時決定の保険者算定として決定)

既に2020年4月または5月に給与が下がり、標準報酬月額の特例改定を受けている方は保険料の定期決定の際、通常のように4月から6月の給与を基に決定するのではなく、8月の給与を基に標準報酬月額を決定することができます。そのためには下記のような要件が必要になります。

  • (1)新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことで、2020年4月または5月に給与が著しく下がり、5月または6月に特例改定を受けた
  • (2)2020年8月に支払われた給与が、9月の定時決定で決定された標準報酬月額に比べて2等級以上下がった
  • (3)本特例改定による改定内容に本人が書面で同意している

標準報酬月額の特例改定の手続きは? 注意点は?

標準報酬月額の特例改定の手続きは、勤務先の事業主を通じて行います。基本的には勤務先にお任せしてしまえば手続きが完了します。

しかし、標準報酬月額が下がるということは傷病手当金や出産手当金、将来受け取る年金といった給付の金額に影響する上、一度届け出をすると後から取り下げたり、変更することもできないため、十分に考えて特例の適用を受けるか決定するようにしてください。

コロナ禍で収入が減少したら翌月から厚生年金の保険料を変更できる

新型コロナウイルスの影響による休業で給与が著しく減少し、厚生年金の保険料の負担が重くなった場合、標準報酬月額の特例改定によって保険料を引き下げることができます。

しかし、保険料を下げるということは将来受け取る各種給付に影響を及ぼすことになるため、標準報酬月額の特例改定の適用を受ける際はその点について十分に理解をしておくようにしてください。

出典
日本年金機構 【事業主の皆さまへ】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定の延長等のご案内
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表

執筆者:柘植輝
行政書士

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