インエクセスのグラムロック、マイケル・ハッチェンスのカリスマ性を増幅! 1988年 4月16日 インエクセスのシングル「デヴィル・インサイド」がビルボードHOT100で最高位(2位)を記録した日

__共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.76 Devil Inside / INXS__

オーストラリア出身で断トツ! 全世界での圧倒的人気と突出した商業的成功

様々な音楽ジャンルが誕生し、様々な音楽的事象が勃発した1980年代、大衆音楽シーンは目まぐるしく動いていた。ビルボードのシングルチャートを席巻したということは、ほぼ世界を制したと言われた時代(もちろん全てがそうだったわけではない)、その主役はおおよそが米英出身のアーティストたちだ。そんな中、同じ英語圏ということで、意外にもオーストラリア(豪州)出身のいくつかのアーティストたちが活躍、大きな人気を得ていた。

激動の80年代にビルボードチャートを制した豪州アーティスト… AC/DC、エア・サプライ、リック・スプリングフィールド、メン・アット・ワーク、クラウデッド・ハウス… いくつかの名を容易に挙げられるが、本国含め全世界での圧倒的人気の高さ、突出した商業的成功を鑑みるに、インエクセス(INXS)がその筆頭に位置するのは、火を見るよりも明らかだろう。

カリスマ性を伴ったマイケル・ハッチェンスへの黄色い歓声が大きかった日本での人気以上に、世界の、そして本国オーストラリアでのインエクセス人気は、それはそれは絶大だった。歴代オーストラリア出身のロックバンドの中では、世界的人気及び数字としての実績(世界的セールス、ビルボードHOT100等)からすると、インエクセスが断トツなのは間違いない。アルバムのAC/DC、シングルヒットのインエクセスという構図が見えてくるが、いずれにしろ歴代豪州ロックバンドの双璧の一角を担ったのが、インエクセスなのだ。

インエクセスが残した華々しい数字

インエクセスのビルボードHOT100における実績は凄まじい。世界進出を果たした初期ヒット「ワン・シング」(1983年30位)、「オリジナル・シン」(1984年58位)を皮切りに、全米ナンバーワンとなった「ニード・ユー・トゥナイト」(1988年1位)を筆頭に、トップ40ヒット11曲、うちトップ10ヒット7曲を保持。2000年代までにチャートインした楽曲は20曲を数え、3作のアルバムが(アメリカだけで)ミリオン超えを記録した。総合的なチャート実績は、エア・サプライやリック・スプリングフィールドを凌ぎ、オーストラリアン・ロックバンド史上最も華々しい数字を残していると言えよう。

インエクセス・レパートリーにおける共有感の高いヒット・ソングならば、ナイル・ロジャースがプロデュースを担った「オリジナル・シン」、クリス・トーマスとの邂逅「ホワット・ユー・ニード」(1986年5位)、唯一の全米ナンバーワン「ニード・ユー・トゥナイト」、絶頂時の扇情的ヒット「ニュー・センセーション」(1988年3位)あたりが思い浮かぶだろう。しかし忘れてはならないのが、80年代74番目に誕生したナンバー2ソング「デヴィル・インサイド」(1988年2位)だ。

70年代UKロックを凝縮? 異色のヒットソング「デヴィル・インサイド」

全世界で1000万超のセールスを記録したアルバム『キック』(1987年)から、「ニード・ユー・トゥナイト」に次ぐセカンド・カットとしてリリースされたシングルが「デヴィル・インサイド」。グラムロック~ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)の流れを経由したUKロックと、ルーツロックンロールを下地としたポップヘヴィなUSロックを絶妙なバランスで融合させたサウンドを身上としたインエクセス。「デヴィル・インサイド」はプログレッシヴ、グラム、ガレージ、パンクといった70年代UKロックを凝縮したようなサウンドで、インエクセスレパートリーにおいてはかなり異色なヒットソングだった。

呪術的意匠を纏った連綿と受け継がれたグラムロック寄りなナルシズムの強烈なアピールは、結果的にマイケル・ハッチェンスのカリスマ性を増幅させるという効果を生んでもいた。わかりやすいUS寄りなポップロックでブレイクした直後に、このような異色な作品をしっかりとヒットさせたインエクセスは、実に計算高い延命策を打っていたわけだ。もちろんこの策は見事に当たって、90年代初頭までに6曲連続のトップ10ヒットを放つという偉業を達成、この時期世界的人気はピークを迎えていた。

ところで2位止まりだった「デヴィル・インサイド」のトップ到達を阻んだのは、ビリー・オーシャンとホイットニー・ヒューストン。奇しくもUK/USの80年代を象徴するようなブラックコンテンポラリー・アーティストだったわけで、“豪州勢にはそう簡単に2曲連続の全米ナンバーワンは取らせないぜ” とばかりに意地を見せていたのだろうか。

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カタリベ: KARL南澤

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