「助け求める電話受けられない」 118番誤用で海保

定例会見で間違い電話への注意を呼び掛ける寺門課長=第3管区海上保安本部

 助かる命が助けられなくなるかもしれない-。海の事件事故を通報する「118番」が導入されて22年、無言や間違いなどの無効通報が99%を占め、海上保安庁の担当者が頭を悩ませている。コロナ禍による消費者トラブルの増加を背景に消費者ホットライン「188」(いやや)との間違いが急増しており、第3管区海上保安本部(横浜)は消費者庁と連携した周知活動を始めた。

 3管に昨年1~11月に寄せられた118番通報は16万9809件。そのうち、海難、人身事故などの有効通報はわずか605件(0.3%)で、無言、すぐに通話が切断される、間違い、いたずらなどの無効通報が16万9204件(99.6%)に上った。有効通報は1日1、2件という。

 中でも、間違い電話は4万3055件で通報全体の4分の1を占めており、3管の寺門嘉之救難課長は「実感としては、間違い電話の半数以上が188番にかけようとしたのではないか」と推測している。

 消費者庁などによると、最近はコロナ禍に関連した消費者トラブルの相談が急増。臨時休校中の小学生がオンラインゲームで親のクレジットカードを無断で利用して多額の課金をしたケースや、マスクや除菌剤など保健衛生品を巡るトラブルなどが目立つという。

 そこで「118番」と「188番」を合わせて知ってもらおうと、3管は消費者庁と連携して啓発資料を作成。国土交通省京浜河川事務所の協力を得て、JR川崎駅や平塚駅などに設置してある河川情報を伝える電光掲示板での掲示を始めた。今後は釣具店などにもチラシを配布するという。

 寺門課長は「電話番号が間違っていることを説明している間は、本当に助けを求める人からの電話が受けられない」として、適正利用への理解を呼び掛けている。

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