首相の施政方針「国民の胸に届かない」 初演説に神奈川選出議員は…

 通常国会が18日開会し、衆院解散・総選挙をにらんだ与野党の攻防が始まった。菅義偉首相(衆院神奈川2区)が臨んだ就任以来初めてとなる施政方針演説。県内選出の与党議員は「決意が伝わってきた」と評価する一方、野党議員は「国民の胸に届かない」と切り捨て、新型コロナウイルス対策の遅れや「政治とカネ」を巡る問題で批判を強めた。

 自民党の鈴木馨祐氏(7区)は「コロナと経済、デジタルとグリーンといった短期と長期で取り組む政策のバランスが取れていた」と高く評価。首相が政治の師と仰ぐ梶山静六元官房長官の言葉を引き合いに出した点を「総理の根っこにある哲学。決意と覚悟が伝わり、さらに政権運営を加速させていくという意思の表れだろう」とみる。

 内閣支持率は直近の報道各社の調査では不支持率が支持率が上回るものもあるが、「国民の不安に応える手を打ってきている。今は誰がやっても厳しい目で見られるが、緊張感を持ってやっていくしかない」。

 一方、野党側の受け止めは手厳しい。立憲民主党の青柳陽一郎県連幹事長(6区)は「総花的で、いかにも官僚が書いた作文。国会答弁や記者会見同様、首相の言葉は果たして国民に伝わるか」と疑問視。吉川貴盛元農相の収賄事件など「政治とカネ」を巡る問題も見過ごせないとし、「国民は見ている。こうした異常事態にケリをつけない限り、政治のメッセージは届かない」と強調した。

 「演説の中に検査の『け』の字もなかった。現場の実態が分かっていない」。共産党の畑野君枝氏(比例南関東)は急速な感染拡大で各地の病床が足りなくなり、入院できず「自宅待機」を強いられる人が増えている実情に触れ、政府のコロナ対応を批判。首相が計8人でステーキ会食に参加し批判を浴びたことを念頭に「あれやる、これやると偉そうに言われても、言われる側はむなしいだけ」と皮肉った。

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