「日光浴が大事」「抱き癖がつく」「三歳児神話」…...祖父母と考え方が違ったらどうすればいい?

孫のことをかわいがり、お世話をしてくれる祖父母の存在はありがたいもの。ただ、時代や環境の変化で、親世代の子育ての方法や考え方は、今とは変わってきていることもあります。ひょっとしたら、考え方の違いで、ギクシャクしてしまうこともあるかもしれません。そのようなとき、何を心がけ、理解してもらったらよいかについて紹介します。

祖父母の時代と何が変わった?

私たちの親世代・祖父母のころの子育てと現代の子育てには違いがあります。まず、祖父母の時代とは何が変わったのでしょうか。祖父母の年齢にもよりますし、地域による考え方の違いもあるかもしれません。まずは「現在の信頼できる情報」をキャッチすることが大切です。

以下は、親世代・祖父母の時代と変わったいくつかのポイントです。

・日光浴は不要

「日光浴」は「外気浴」という表記に変更。母子手帳の表記でも、1998年に日光浴を推奨する文章が「外気浴」に変わりました。

変更はすでに20年以上前ですが、まだそのように思い込んでいる方がいるかもしれません。現在は生後1カ月ごろから、庭やベランダなどで5分程度の「外気浴」を始めましょうとされています。これは大人より皮膚が薄い赤ちゃんの肌への、紫外線の影響を懸念してのことです。

ただし、紫外線を気にするあまり、最近では日光をほとんど浴びさせないために起こるビタミンD不足も心配されています。ビタミンDが不足すると、骨の発育不良を起こす「くる病」なども心配されています。「バランスよく」がとても大事です。

泣いたら「抱っこ」?

一昔前までは「抱き癖がつく」とも言われ、「抱っこばかりしているから、なかなか自分で寝るようにならない」などの考え方がありました。

現代では、「抱き癖」に関してはないということが言われていて「泣いたら抱っこ」が基本とされています。抱っこをすることによって信頼関係のベースや愛情を育むことができるという考え方です。

ただ、泣いたら「抱っこしなければならない」と考えるとストレスに。状況によってできるとき、できないときがあるので、神経質になりすぎないことが大切です。

三歳児神話

昔は、「子どもが三歳までは常時家庭において母親の手で育てないと成長に悪影響を及ぼす」と言われていた時期がありました。しかし、平成10 年の厚生白書で「三歳児神話には、少なくとも合理的な根拠がない」と断定されています。

「母親がしっかり育てなくては」という思いに縛られることによって、育児ストレスが大きくなってしまうことも。子どもが言うことを聞いてくれない、子育てをうまくできないと自分を責めてしまうと、子どもにストレスをぶつけてしまう可能性もあります。パートナーと協力しながら、保育所など使えるサポートはしっかり活用しながら、子育てをしていってくださいね。

祖父母の考え方を否定しない

昔の子育ての話をされると「えー、なんでそんなこと!」と思うこともたくさんあるでしょう。でも、それは情報格差の問題です。祖父母自身が、それが正解であると思って子育てをしてきているわけですから、「現状はこうなっていますよ」と伝えましょう。

その場合も大事なのは、祖父母の考え方を頭ごなしに否定しないこと。

もし「抱き癖がつくよ」と言われたら、「(祖父母の考えや想いは)そうなんですね」といったん言葉を受け止めましょう。本来は否定したいところでもありますが、祖父母としては良かれと思って言っていることが多いはず。

  • 抱っこされずに自分で寝られるようになったほうが、赤ちゃんのためにいいだろう
  • 親も、たくさん抱っこしていると大変だろう

という感じかもしれません。

相手の考え方は受け止めつつ、たとえば以下のように伝えてみましょう。

「この間、子育て講座の先生が、赤ちゃんは泣いたら抱っこしたほうが、安心感が出て愛情豊かな子になるって聞いたんですよ」などという具合です。

祖父母とざっくばらんな会話ができる関係性なら、「最近では、こうなんですって!」という感じで伝えてもいいかもしれません。

子どもの様子を伝えて安心させる

親からすると、時に大きなお世話と感じる祖父母の言葉も「子どものために」「ママのために」を思って言ってくれていること。

ですから、「子どものために」このほうがよいということがわかれば、理解し、安心してくれるはずです。

「抱っこしたほうが安心して親離れできるって聞いたので、普段からたくさん抱っこしているんです。そのおかげか、子育てひろばに行くと私の膝から離れて、おもちゃで遊んだり、友だちに関心を向けたりするようになってきたんですよ」という感じです。

祖父母の考え方も含めて、世の中にはいろいろな情報があふれています。これが絶対正解!というものはないので、聞くたびにブレないことも大事です。もちろん参考にすることは大事ですが、パートナーとも相談しながら、「わが家はこれで行く」という方向性を決めて、自分たちらしい子育てをしていきましょう。

祖父母とよい関係を

祖父母が違うやり方や考え方を押しつけがちに言ってきたとしても、子どもや親であるママを思ってのこと。「心配してくれているんだな」と思うと、祖父母への声掛けや対応の仕方も変わってくるでしょう。

子どもの成長を一緒に見守って応援してくれている家族を大切にし、これからもよい関係を築いていってくださいね。

著者紹介
高祖常子(こうそ・ときこ)

子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント

資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事や行政の委員も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。著書は『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)、『感情的にならない子育て』(かんき出版)ほか。3児の母。

これまでの【子育てアドバイザー高祖常子さんに聞く「イライラしない子育て」】は

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