巨人FA移籍の井納翔一は古巣DeNAとどう戦う? 移籍1年目で自身が向き合う課題

巨人・井納翔一【写真:編集部】

入団会見で原監督は150投球回数を期待、ローテでフル回転目指す

DeNAから巨人に移籍した井納翔一投手が18日、新天地での自主トレを公開し、2021年シーズンの決意を示した。ジャイアンツ球場でブルペン入り、ダッシュなどで汗を流した。昨年の入団会見で原監督からは150イニングの投球回、時には中4日の登板を期待された右腕はどのような気持ちで新しい一年を迎えたのか。古巣への思い、新天地にかける意気込みを語った。

慣れ親しんだ横浜から、新天地へ。井納は川崎市にあるジャイアンツ球場に向かった。「年が明け、球団が変わって、ルーキーの時のような不安もあり、楽しみもある中で、ジャイアンツ球場に来ました。なかなか、ずっと覚えておくのは難しいですけど(初日のこの日を)忘れずにやっていければと思います」

スタッフのカメラに時折、笑みを送り、ブルペンに入る際は傾斜やホームプレートまでの距離を確認。本拠地となる東京ドームと同じ仕様であることを聞くと「体の使い方もマウンドに合うようなフォームにしないといけない」と気持ちを新たにし、約15球を投じた。

「思ったよりはしっかりと投げられました。けれど、上半身と下半身のタイミングはまだ合っていない。いかにコンパクトに、強い球を投げるか……。まだそういうところはやっていかないといけないです」

DeNAでの8年間で通算50勝。昨季は17登板で6勝7敗、防御率3.94の成績だった。原監督からは「ローテの一角として、時には中4日で投げてもらいたい。150、200イニング近く投げてもらうことを考えています」と期待を寄せられていた。

2年目の2014年は25登板で11勝9敗。投球回数は159回1/3をマーク。2016、2017年は2年連続で規定投球回数に到達したが、以降は中継ぎ起用もあり、3年間クリアできていない。だが決して不可能な数字ではない。現状を自覚しながら、先を見据える。

「ここ何年かは一年間ローテションで投げれていないし、規定投球回数もいっていない。技術もそうですけど、体のケア、試合が終わってから次に行くまでの調整方法とか、一年間通して、投げる上で一番大事なことと考えています」

また、中4日については経験がない。それでも優勝するために必要になってくるシチュエーションであることはわかっている、スクランブルにも対応していかなくてはいけない。

「言われたところで投げないといけない。それが中4日だとしても、試合で最高のパフォーマンス、悔いのない投球を披露するだけです」

今季からは巨人のレジェンドOB、桑田真澄氏がコーチに加わる

環境が変われば、見えてくる世界も変わってくる。指導者たちの顔ぶれも多少、変わる。メンタルのケアに長けている宮本和知投手チーフコーチがおり、桑田真澄コーチも補佐として加わることになる。

「桑田さんには『良い』『悪い』ではなく、自分の今までの調整方法を見ていただき、アドバイスもらえれば一番(嬉しい)と思います」

そして、ペナントレースでライバルになるのはDeNAの存在。古巣についての質問に答えた井納は改めて強力打線に支えられていたことを実感し、警戒した。

「(DeNAの打線は)長打、一発があります。心強い打線でした。それが対戦相手になるので、そういうところは気をつけたいです」

DeNAの盗塁数は昨季31盗塁で2年連続リーグ最少。犠打数も少なかったため、足や小技でかき回す攻撃があまり見られなかった。

「監督も変わったので、どういう打順になるかわからないですが、ベイスターズが変わってなければ、対戦する時は、一発を気をつけたいです。研究をして、対戦していきたいと思います」

他にも入団会見では、指揮官からは若手の手本になるような存在になることを期待された。投手陣は井納よりも年下がほとんどだ。右腕はその責務も果たすことも役目だと感じている。

「僕自身も、年齢の離れている先輩に話しかけるのは、相当な勇気と覚悟ありました。キャンプ中に一緒にやっている若い選手に話しかけていければなと思います」

エース菅野の残留が決まり、昨年9勝の戸郷をはじめ、サンチェス、今村、高橋、メルセデス、新人の平内らとローテーション争いながらも、個の力を結集して、盛り上げていかないといけない。巨人のリーグ3連覇と日本一奪回は投手力向上も大きく関わってくる。

「ジャイアンツという伝統ある素晴らしい球団、しっかりとやっていきます」

不安と楽しみが入り混じる中、大きな日本一という目標に向かい、新たな挑戦が始まった。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

© 株式会社Creative2