保育士自殺 園側に賠償命令 安全配慮義務違反を認定 長崎地裁判決

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 長崎市内の保育園に勤務していた女性保育士=当時(44)=が自殺したのは園側の対応に原因があるとして、遺族が園を運営する社会福祉法人に損害賠償を求めた訴訟で、長崎地裁(天川博義裁判長)は19日、安全配慮義務違反があったとして法人側に約3500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 判決によると、2016年、保護者が園内での虐待を疑ったことをきっかけに保育士の退職が相次ぎ、心理的負担が強まった女性は同年5月にうつ病を発症。眠れない、食欲がないといった症状が現れた。虐待を疑われないよう上司に園児の泣き声を注意されるなどの出来事が重なり、女性の症状は悪化した。口数が極端に減り、将来を悲観する言動を取っていた女性は17年6月に失踪し、自殺。「園児に重大なけがを負わせてしまったという妄想に支配されていた」とみられている。18年5月、女性の自殺は労災認定された。
 同地裁は業務と自殺の因果関係を認めた上で、法人側に「(女性の)心理的負荷が過度に蓄積し、心身の健康に変調をきたすことがないように注意すべき義務を負っていた」と指摘。法人側は業務量の削減やカウンセリングを実施したが、「十分に機能していなかった」などとして法人側の安全配慮義務違反を認めた。
 女性の遺族は代理人弁護士を通じて「主張が裁判所において事実として認定されたことについて、ほっとしている」とコメントした。法人側の代理人弁護士は「判決文を精査し、協議した上で今後の方針を決める」としている。