デイサービス全従事者にPCR実施など 長崎市、55億円専決処分

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い県独自の緊急事態宣言が発令されている長崎市は19日、市内の通所介護(デイサービス)事業所の全従事者向けPCR検査費を含む総額55億5900万円の一般会計補正予算案を発表した。同日の市議会対策会議で了承を得たため20日に専決処分する。
 市内211の通所介護事業所の従事者計約3500人を対象に準備が整い次第、1人当たり週1回で計4回、検査する。長崎市を中心とする長崎医療圏のコロナ病床利用率が16日現在83.2%と逼迫(ひっぱく)する中、重症化が懸念され、入院者も多い高齢者の感染防止策を特に強化する。費用は2億3100万円。
 全市民へのワクチン接種費には21億3700万円を充てる。医療従事者への先行接種が予定される2月下旬以降、高齢者や基礎疾患がある人を優先して順次接種する。市は既に市民健康部内に新型コロナウイルスワクチン接種事業室を設置しており、2月下旬にコールセンターも開設予定。営業時間の短縮要請に応じた飲食店などへの協力金は26億2600万円を計上した。
 対策会議で、田上富久市長は「いつ医療崩壊が起きてもおかしくないという強い危機感を持ち、スピード感を持って対応したい」と述べた。複数の議員が、協力金の対象が飲食店などに限られている現状に対し「おしぼり店や酒店も経営は厳しい」などと指摘、効果的な経済対策を早期に打つよう市側に求めた。

 


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