「おじさまと猫」神木隆之介のかわいすぎる“にゃああ”の裏話とは? 「テンションが上がると思わず人間の言葉になってしまいました(笑)」

草刈正雄さん演じるピアニストの神田冬樹が、ペットショップで売れ残っていた成猫のふくまる(声:神木隆之介)と出会ってからの日々を描くドラマ「おじさまと猫」(テレビ東京ほか)。妻に先立たれ、ふさぎ込んだ日々を送っていた神田と、愛されることを諦めていたふくまるが、一緒に生活をする中で次第に笑顔を取り戻し、言葉は通じなくともお互いを思い合う…そんな姿に温かい気持ちになる方も多いのではないでしょうか?

今回は、ふくまるの声を演じる神木隆之介さんを直撃取材! ふくまるを演じる上での難しさや神田役の草刈さんの印象、そしてドラマのタイトルにちなんだ「神木さんと○○」についてや最近癒やされたエピソードまで、さまざまなお話を明かしてくれました。

――ふくまるは感情表現がとても豊かなキャラクターですが、実際に演じられていかがでしたか?

「難しかったです。共演者の方々がお芝居をやられている映像を見ながら、僕が最後に声を収録させていただいたので、シーンの状況や気持ちの流れを見ながらできたのはすごくありがたかったのですが、ふくまる自体の、どういう声のトーンで、どれくらいテンションを高くするのかというあんばいが難しかったですね。また、ふくまるの感情も瞬間ごとに結構変わるので、瞬発力が必要でしたね」

――さらに、普段の言葉ではなく「にゃああ!」という猫としてのセリフですもんね。

「そうなんですよ! だから、テンションが上がると思わず人間の言葉になってしまいました(笑)。『あ、“にゃああ”でしたね、すいません!』って。『なのに』が『にゃにょに』になったり、セリフの7割くらいが『にゃああ』ですからね(笑)。油断すると本当にかんじゃっていました」

――ファンの方はそんな神木さんの「にゃああ」という声を楽しみにされているのではないでしょうか?

「うれしいです! 『かわいらしいな』と感じていただけたらいいなと思いながらやっているので、実写では“神木がやったふくまる”として見ていただけたらうれしいですね。さすがに(PVでふくまるの声を担当した)釘宮理恵さんにはかなわないです…。実写は実写で見ていただいて(笑)」

――撮影の時には、神田冬樹役の草刈正雄さんが演じられた映像を見ながら、神木さんはふくまるの声を収録されたんですよね。

「そうです! なので、僕は今回は撮影現場には一度しか行っていないんです。7~8割ほど編集された映像を見ながら、僕の声を収録させていただくという流れだったので、実写の皆さんが、僕のふくまるの声がない中で撮影されるのはとても難しかったと思います!! しかも、面白いのが僕の代わりにふくまるの声を読んでくださる助監督さんが、話数ごとに代わるんですよ。だから、1話を担当されていた助監督さんが最終回では感情を乗せてすごくうまくなられていたり、芸人のゆってぃさんみたいなハイテンションでくる助監督さんがいらっしゃったりして」

――それも神木さんからすると楽しみですね(笑)。

「そうなんです! 『今回はゆってぃさんだ!』みたいな(笑)。でも、いくら同じセリフを言っているとはいえ、口に出す人が違えばそれぞれ全部違ってくるので、そんなふくまるに草刈さん含め共演者の皆さんが気持ちをぶつけたり、感情移入をしたりされるのはやっぱり大変だったと思います。見ていて『すごいな、皆さん』と思いました」

――撮影の大変さが伝わってきます。神木さんも撮影現場に行けないのは寂しいですよね。

「そうなんですよ。次に皆さんにお会いしてもまだ2回目という…。画面越しではあんなに見ていたのに(笑)」

――そんな画面越しで見られていた草刈さんの印象はいかがでしたか?

「いつ見てもすごく紳士的で、本当に“おじさま”という言葉が似合う方だなと思いました。とてつもない上品さを醸し出されていますよね。今回1回だけお会いしました。撮影が始まる直前に、僕も現地に行って皆さんと読み合わせをさせていただいたんです。その時、すごく不安でした。全員の前でふくまるの声をやらなきゃいけない状況で『気まずいなあ、大丈夫かな?』と思いながら第一声のセリフを言ったんです。そしたら、僕がセリフを言っている途中で、草刈さんが『うわあ~!!』とすごく笑ってくださって。『素晴らしい! かわいいよ、本当に! これはいいね~!』って。実は、その間も僕はずっとふくまるのセリフを言っていたんですけど(笑)。その草刈さんのリアクションを見ることができたから、『僕はこのふくまるという役をやらせてもらっていいんだな、この方向性で合っているんだな』というのを確信できて自信になりましたし、不安がなくなりました。そこであらためて、草刈さんは、すごく優しくて本当に大きい方だなと感じました」

――そんな草刈さんが演じられる神田にとって、ふくまるは必要不可欠な存在だと思うのですが、神木さんにとって、大切な存在や自分を支えてくれるものを教えていただけますか? ドラマのタイトルにちなんで「神木さんと○○」で言うと?

「『神木さんとイヤホン』! …つまらなそうなタイトルですよね(笑)。イヤホンが大好きなんですよ。メーカーや機種によって音質や聴こえ方が全然違うのが面白くて。僕は常に音楽を聴いていたいので、イヤホンを忘れると絶望してしまうくらい、本当に相棒です(笑)。むしろ、イヤホンを忘れた日は自分で歌っちゃいますからね! 道端とかでも歌っていますよ!」

――周りの人に気付かれません!?

「気付かれないですね! 撮影現場とかでも歌ってしまうので、できればイヤホンは欲しいです(笑)。今使っているのは、『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)に出演させていただいた時に買ったイヤホン、イヤモニと、ゲーム実況YouTuberで友達のポッキーさんからもらったイヤホンです。どれも有線なんですけど、変換器を挿して使っていますね」

――どのあたりがお気に入りなのでしょうか?

「イヤモニは本当にライブで使うようなもので、音がすごく鮮明でクリアに聴こえるんですよね。反対にポッキーさんからもらったものは、機械音を再生するのが得意で聴きやすいんです。それを使い分けていますね」

――神木さんの相棒はイヤホンだったんですね(笑)。最後に、今回のドラマは視聴者の方もほっこりして癒やされる作品になっていると思うのですが、神木さんが最近癒やされたエピソードがあれば教えていただけますか?

「姪が『大丈夫? 体調崩していない?』と連絡をくれたことですね。ちょっと口が悪くて生意気な中学生の姪なんですが、僕は昔から子ども扱いをせず人として接してきたんです。口の悪いことを彼女に言われると『それ、社会に出た時に君が困るんだよ』『僕だからいいけど、年上の人に向かってあんまり良くないよ』と厳しめなことを言って甘やかすことがなかったから、僕は嫌われているんだろうなと思っていたんです。だけど、最近事あるごとに『隆、仕事忙しいの? 大丈夫?』と心配して連絡くれるのが、すごく心に刺さってうれしいです。僕も『おう! サンキューな』と返したりして、ほっこりしましたね」

【プロフィール】

神木隆之介(かみき りゅうのすけ)
1993年5月19日生まれ。埼玉県出身。ドラマ「鉄の骨」(WOWOW)、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(NHK総合)、「集団左遷!!」(TBS系)、「刑事ゆがみ」(フジテレビ系)、映画「ドラえもん のび太の新恐竜」(声の出演)、「ラストレター」「屍人荘の殺人」、「天気の子」「君の名は。」(ともに声の出演)、舞台「キレイ-神様と待ち合わせした女-」などの話題作に出演し、多方面で活躍している。

【番組情報】

ドラマParavi「おじさまと猫」
テレビ東京ほか
水曜 深夜0:58~1:28

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当)

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