【新型コロナ】神奈川県、感染拡大の前に打つ手なし 担当幹部「(自宅で次々と)死ぬかもしれない」

 18日に行われた神奈川県の感染症対策の方針を決める「感染症対策協議会」の内容が明らかになった。医療資源がひっ迫していることを理由に対策の事実上の「後退」を提示した県側に対し、医療機関の委員から強い懸念を示されたものの、そのまま県側の方針が押し通されていた。県の医療体制は事実上、極めて危険な状態の患者しか受け入れられない機能不全に陥っており、もはや完全に崩壊したと評価せざるを得ない状態だ。

「ハイリスク患者」の定義すらより厳しく絞る

 会議では、今後の県の方針として「自宅療養者への連絡をやめ、自己管理を求める」「パルスオキシメーターの配布対象を40歳以上などに絞る」「重点対策対象とする患者を、血中酸素飽和度93%以下とする」ことなどが示された。これに対し、協議会メンバーである神奈川県立循環器呼吸器病センターの小倉高志副院長らから、特に93%以下とする方針に対し、危険だと強い異論が出だ。なぜならこの数値は、正常値の98%〜100%からすればかなり悪い数値であり、医学的には「呼吸不全」と診断されてしかるべき状態だからだ。この状態になるまで何ののケアもしないことはリスクが高すぎ、放置する、と宣言することに等しい。

 しかしこうした強い懸念に対し、県側の担当幹部は病床も人的リソースも限界であることを理由に理解を求め方針変更をすることはなかった。これに対し医療機関のメンバーからは、訪問診療等でフォローアップするなど何らかの手当てを求めたが、これを検討するかも定かではない状態だ。

 協議会終了後、内容について県の記者クラブから「自宅で次々と死んでいくということなのか」と聞かれた県の幹部は「そうなるかもしれない」と答え、感染拡大を前に、もはやほとんど打つ手がないことを暗に示した。

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