山中漆器の木地師が創り出す曲線美。「MokuNeji」のコーヒーミル

ここ一年で、コーヒーを飲む量が格段に増えました。

毎朝、2〜3杯分の量をドリップして水筒にin。チビチビやりながら仕事をしています。

おかげさまで、昨年秋に金沢石引の「Chomsky&Coffee&Library」で、美味しいコーヒーの淹れ方を教わってから、味の方もグレードアップしました。

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それじゃあ、もっと高みを目指そう。

ということで注目したのが「MokuNeji」のコーヒーミルです。

豆の挽きやすさと堅牢性にこだわったミル。素材やデザインへのこだわりも伝わってくる。

「MokuNeji(モクネジ)」は、加賀山中の伝統的な木工ろくろ技術と、モダンなデザインを掛け合わせたアイテムを展開するプロダクトブランド。

このコーヒーミルは、山中の挽物木地職人と老舗コーヒー機器メーカー「カリタ」の協力によって作られています。

ちなみに筆者は「MokuNeji」のステンレスボトルを5年近く愛用。品質の良さはしっかりと肌で感じています。

MokuNejiコーヒーミル 左/黒拭き漆仕上げ29,000円、右/オイル仕上げ21,000円(ともに税抜)

山中の木地師が創り出す曲線美。

胴がキュッとくびれたシルエット。熟練の木工ろくろ木地師が創り出す柔らかな曲線は、もはや芸術の域です。天然ケヤキの美しい木目とリッチな質感は、キッチンに飾るだけで絵になりますね。

塗装はオイル仕上げと黒拭き漆仕上げの2種類。木目フェチの筆者は、迷わずオイル仕上げを選びました。

ケヤキらしい木目の美しさ。底面の淵を削ることで、よりスタイリッシュに。

挽いた豆の粉を取り出すときは、胴体をキュッと回すだけ。本体の中央にあるネジには特殊な加工が施されていて、半回転するだけでしっかりと閉まります。

右が仕様変更後のネジ。よりスムーズに開閉できるようになった。
ハンドルの持ち手も木製。サイズ感がよく回転に合わせて回るので挽きやすい。

老舗メーカーならではの知恵と技術。

重厚感のある機械部分は、信頼と実績のカリタ製。2枚刃の盤に取り付けたミル刃で裂くように挽くので、雑味の原因となる微粉が少なく、均一に仕上がるのが特徴です。

金属製なのでお手入れはこまめに。大切に扱えば何年も使える品。木肌も使い込むほど味が出ます。

コーヒー機器といえばカリタ。シンプルな構造なので使いやすい。
機械部の調整ネジを右に回すと細挽き、左に回すと粗挽きになる。

ドリップする直前に挽くのが一番。

それでは実際に使ってみます。と、その前に。使用するさいは以下の点に注意とのこと。

・空挽きは歯を痛めるので絶対にしない。
・ハンドルを逆回転させるとミルが破損する恐れあり。
・汚れが付着した場合は水洗いせず、布で拭き取ること。

ハンドミルの基本中の基本ですね。

機械部分にコーヒー豆を入れる。

一度に挽く豆の量は30gまで。今回は2人分(20g)を挽いてみます。

ちなみに使用した豆は、十間町にある自家焙煎専門店「東出珈琲店」の東出ブレンド。これがすっきりとした飲み口で、とても美味しいんです。

ハンドルを時計回りに回転させて、豆を挽く。

ミルそのものの重さは約760g。持ったときにずっしりとした感覚が手に伝わり、とても挽きやすい印象を受けました。木肌の感触も柔らかく、吸いつくように手になじみます。

なによりカリカリと鳴る音が心地よくて、ずっと挽き続けていたいくらい。ちょっと手間はかかるけど、朝のルーティンにASMRを取り入れると考えれば、これもありなのかも。

ペーパードリップ用に中挽きで。

挽き終わったら胴体をくるっと回して、中身をフィルターに移します。

このときにふんわりと漂ってくる、挽きたて豆の香りがこれまた最高。聴覚のつぎは嗅覚で、朝の目覚めをうながしてくれます。

挽きたての豆の良い香りが漂ってくる。

コーヒー豆を買うときはお店で挽いてもらう派。豆をもらったときはカリタの電動ミルを使っているんですが、やっぱりハンドミルで挽いた豆は香りが断然ちがいますね。実際に挽いてみて、再認識しました。

電動のミルではコーヒー豆に熱が伝わってしまうところを、手動でゆっくりと回すことによってそれを防ぎ、豆本来の風味が楽めるのだそうです。

あとはドリップするだけ。お湯の温度が低すぎたのか膨らまなかったのが残念。

ちなみにこのコーヒーミルは、石川県内だと金沢広坂の「[g]ift」で販売中。そのほか「MokuNeji」のオンラインショップでも取り扱っています。

コーヒーは極めれば様式美。ちょっと値段はするけど、日々の暮らしをアップデートするツールとして、機能性と美観にすぐれた「MokuNeji」のコーヒーミルは、間違いなく"買い"の逸品です。

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

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