日本HPの2021年事業戦略、ニューノーマル到来でメガトレンドが前倒しに

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将来予測がCOVID-19で速まったので、今まで以上の速度で実行すればよい

2021年1月20日、日本HPは2021年の事業戦略説明会を行いました。ここでは、全体とPC事業についてレポートします。

冒頭、日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏がビジネスの現状を説明。世界のHP全体として、2020年の年間売り上げは5.9兆円と2%減にとどまり、利益は4.2千億円と、2019年と同様の水準を維持。世界的に新型コロナウイルス感染症の影響でグローバル経済が停滞した中、堅調な推移だった理由として「法人向けの落ち込みを個人向けがカバー、デスクトップPCの落ち込みをノートPCでカバー」といったように、HPの事業ポートフォリオの広さを挙げます。

日本市場においては、テレワークへの対応としてセキュリティを意識したPCと、中堅・中小企業向けITサポートとして製品とサービスをパッケージ提供する「HP Business Boost」を提供開始。また、クリエイター向けPCの新モデルを13製品投入したほか、多品種少量生産・オンデマンドのニーズに応えるべく、デジタル印刷機を10機種投入したと紹介しました。

ビジネス面の変化としては「Stay Home&非接触」、「デジタル化」、「トレンド多様化」とともに、デジタル時代でユーザーが気にする「セキュリティ」と世の中全体の要請として「サステナビリティ」を取り上げました。

HPの基本戦略は「今後10年で何が変わるのか」というメガトレンドがベースです。COVID-19によってメガトレンドの進行が速くなっただけであり、今まで以上のスピードで施策を実行するようにしただけで基本戦略は変わらないといいます。

2020年は個人・教育が市場をけん引

日本HP 専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は、パーソナルシステム事業の戦略を説明。岡氏と同じく、2021年の事業戦略は2020年を継続し、予想ターゲット層に対して新たな体験を提供し、使いやすく顧客生涯価値を最大化する製品を投入するとしました。

2020年はCOVID-19によってPCの役割が変化し、特に個人用と学習用が成長したことによって、セキュリティと管理のニーズが顕在化。また、2020年はGoogleのプロモーションとGIGAスクール構想も影響してか、Chromebookが大きく成長したと言います(学校向けだけでなく、個人向け販売でも大きな伸びがあるとのこと)。

製品の変化としては、ディスプレイはより表示範囲(解像度と画面サイズ)を広げつつ目にやさしい製品、ノートPCではを投入したり、封じ込め技術を元にしたセキュリティ技術を発表しています。クリエイター向けとしては「プロフェッショナル、プロシューマー、カジュアル」の各ユーザー層に向けた幅広い製品を投入しました。

COVID-19に関して世界の調査結果によると、44%の人が以前よりも生産的になったと回答し、クリエイターやパワーユーザーの80%は在宅勤務の継続を望んでいるそうです。また、41%のユーザーがバーチャルミーティングを好むという結果に。

2020年11月に日本で行った調査としては、企業における2021年のIT予算は2020年より増え、緊急対応だったCOVID-19対応を定着させるためか、セキュリティとマネジメントの予算増が目立ちます。ニューノーマル時代の象徴的な事例として、日本の顧客に産業用プリンタを設置するとき、これまでは何回も訪問していたのに対し、現在はビデオ会議に慣れたことで最小限の訪問回数で済むことを挙げました。

パーソナルシステムズ事業としての2021年の戦略は、PCが必要不可欠な製品という認識が定着し、将来のオフィス・ホームに向けた足場固めを強化。そのために引き続き、各製品のユーザビリティを向上し、導入しやすくし、多種多様な製品・サービスのポートフォリオを作ると述べました。

最後にサステナビリティについて触れ、製造に使う素材に関して、いち早くオーシャンバウンド・プラスチック(海岸線から50km以内で正式な廃棄物管理を行っていないプラスチック材料)の採用や、リサイクル素材を使用したPCスリーブケースという具体的な事例を挙げます。2025年の目標値としては、PCとプリンタに用いる再生プラスチックの割合を30%にするという取り組みを説明。梱包材に関してもプラスチックからパルプモールド梱包材に移行しているそうです。

他部署のフォローとして、パルプモールドの型を3Dプリンタで作成。素材も他社はリサイクル素材50%+新品50%で性能を維持しているのに対し、HPの素材なら70%リサイクル+30%新品で品質維持できるとします。また、3Dプリンタで作成した部材を破棄せず、射出成型用素材としてリサイクルしている企業との連携についても紹介しました。

COVID-19の関係でディスプレイの販売も好調と発言があったので、最後の質疑応答で売れ筋の変化について聞いてみました。法人向けは21~22インチ製品から24インチ製品へシフト、個人向けは24インチ製品から27インチ製品へシフトしているとのこと。大きめサイズがポイントのようです。