パ球団が楽天・石井新監督より警戒する2冠・鈴木大地の存在感

鈴木大地

全権監督誕生以上に脅威か。現在オフ真っただ中のプロ野球界で早くもパ・リーグの各球団が今季の楽天に警戒感を示している。と言っても、11月にチームの全権を握る石井一久GM(ゼネラルマネジャー)兼監督が誕生したからではない。鈴木大地内野手(31)が移籍1年目の昨季、ベストナインとゴールデン・グラブ賞の2冠に輝いたことでチーム内の存在感が高まることに危機感を抱いているというのだ。

鈴木は昨オフ、国内FA権を行使してロッテから楽天に移籍。新天地に移った昨季は主に三塁手としてシーズン全試合出場し、打率2割9分5厘、4本、55打点の好成績をマークした。だが、チームは2位ロッテと2・5ゲーム差のリーグ4位と低迷。まさかのBクラスに転落した。この要因の一つが生え抜き選手と移籍組が混在するチームをまとめる「現場リーダーの不在」と言われていた。それでも、鈴木が結果を残しオフに複数賞を受賞したことで、今季は持ち味である「キャプテンシー」を発揮しやすい状況になる。これが結果的に楽天のチーム力向上につながるというのだ。

パの球団首脳陣の一人も鈴木の能力を高く評価したうえでこう分析する。「鈴木大地という選手はロッテ時代からチームをまとめるキャプテンシーの持ち主ですが、昨季は移籍1年目ということもあり、ややチーム内での発言も遠慮しがちだったと聞きます。でも、新天地でフルシーズンを戦い抜いて個人成績を残したばかりか、オフに栄誉ある賞を次々に獲得したことでグラウンド内での彼の発言力や統率力は今季、確実に増す。そうなると、個々の印象が強かった楽天というチームが一丸にまとまる可能性が高いのです。正直なところ、ベンチで指揮を執る石井監督より大地が現場で統率力を発揮する方が我々としては怖いですから。今季の楽天は侮れません」

鈴木自身も12月のベストナイン受賞式後のコメントで「来年は最後(日本シリーズ)まで野球がしたい」と力強く語っていただけに…。石井監督の話題ばかりが目立つ昨今の楽天だが、今季はプロ10年目の節目を迎える実力者の働きも目が離せない。

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