国や自治体に申請すればもらえる「給付金」「手当」、人生の転機に知っておきたい制度を解説

結婚・出産・子育て・ケガ・転職・失業など、私たちが生きていく中には、人生の転機となるできごとがいろいろあります。そして、それらのできごとの多くには、お金の問題がついて回ります。

中には、数十万円単位のお金が必要になるイベントもあります。もし急にそんな事態が発生したら、これからお金を貯め、増やそうとしているときに手痛い出費になることは間違いありません。

こんなときに役立つのが、国や自治体などの給付金(補助金・助成金)・手当です。


届け出をしないと、お金は受け取れない「給付金」「手当」

日本の公的保険(社会保障制度)はとても充実していて、人生の主だったイベントの際にはたいてい何かしらのお金を受け取ることができるようになっています。とはいうものの、意外に知られていない制度もあります。もしも気づかずに届け出をしないと、お金は受け取れなくなってしまいます。

大切なのは、「自分で行動すること」です。届け出・手続きは面倒ですが、面倒くさがって届け出・手続きをしないと、もちろんお金はもらえないのですから、しっかり手続きしましょう。忘れずに申請しておくことで、急な出費を要するイベントもより楽に乗り越えることができるようになるでしょう。以下、簡単に紹介します。

著書「1日で5分で、お金持ち」より

失業給付・再就職手当

会社を退職して、次の仕事先を探す際に、雇用保険から「失業給付」を受け取れます。

正式名称は、「雇用保険の基本手当」といいます。

失業給付を受けるには、自己都合で離職した場合は、離職の日以前の2年間に、月11日以上働いた月が12カ月以上あることが必要です。会社都合で離職した場合は、離職の日以前の1年間に6カ月以上の被保険者期間があれば受け取れます。

また、就職の意思があることも必要になります。失業給付を受け取るにあたり、ハローワークに求職票と前職の離職票を提出し、就職活動を行う必要があります。

失業の認定は、会社都合の離職の場合は、原則として手続きしてから7日後。自己都合の場合は、2カ月の待機期間+7日後です(なお、5年間に2回以上自己都合による退職をしている場合は、3回目以降は3カ月となります)。給付金の金額は、基本手当日額と呼ばれますが、離職前6カ月のボーナスを除く賃金の合計を180で割った「賃金日額」をもとに計算されます。また、所定給付日数も年齢や離職理由によって変わります。

また、失業給付を受け取っているときに再就職が決まると、「再就職手当」を受け取ることができます。再就職する日の前日までの失業給付の所定給付日数が総給付日数の3分の2以上あれば支給残日数×基本手当日額×60%、3分の1以上あれば支給残日数×基本手当日額×50%の金額を受け取れます。再就職手当の申請期限は、就職した日の翌日から1カ月以内ですので注意が必要です。

教育訓練給付

キャリアアップを目指す人が、自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し終了した場合、その経費の一部が支給される制度が「教育訓練給付制度」です。「一般教育訓練給付」と「専門実践教育訓練給付」の2種類があり、雇用保険の期間などによって利用できる給付が異なります。また、受け取れる金額も異なります。

一般教育訓練給付は、雇用保険に原則3年以上加入している人が教育訓練講座を終了した場合に受講費用の20%が支給される(最大10万円、4000円以下は支給なし)というものです。たとえば、受講費用が20万円の場合、20万円×20%=4万円が支給されます。

専門実践教育訓練給付は、訓練費用の50%(年間40万円を上限、最長3年間給付)が給付され、さらに訓練終了・資格取得後、1年以内に就職につながった場合は、追加で20%が給付されます。なお、一般教育訓練給付との同時利用はできません。はじめて制度を利用する場合は、雇用保険への加入期間が2年以上あれば利用できます。過去に同制度を活用していたり、一般教育訓練給付を利用したりしている人は、雇用保険に原則10年以上の加入期間が必要になります。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険に加入している人が、「業務外」のケガや病気で連続する3日間を含む4日以上仕事を休んだ場合に健康保険に申請すると受け取れます。

ただし、次の条件をすべてクリアする必要があります。

(1)業務外のケガや病気であること
業務内のケガや病気の場合は労災保険からの給付が受けられます。

(2)連続する3日間を含めて4日以上仕事を休むこと
ここでいう3日間は「待機期間」と呼びます。傷病手当金は、この待機期間を過ぎた4日目から受け取ることができます。途中で出勤するなどして、待機期間を連続3日間とっていないと、支給されません。

(3)会社から給与が出ていないこと
傷病手当金は給与がない(少ない)場合の補てんをする給付金制度ですので、給与をもらっている場合はもらえません。給与が傷病手当金の金額より少ない場合は、給与と傷病手当金の差額が受け取れます。傷病手当金の1日あたりの金額は標準報酬日額(標準報酬月額を30で割った数値)の3分の2です。標準報酬日額が1万円の人の場合、1日あたり約6,666円が受け取れます。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、被保険者や被扶養者の1カ月あたりの医療費自己負担額が、一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。自己負担額の上限は、年齢(70歳未満か70歳以上か)や、所得の水準で異なります。

出所:協会けんぽ

たとえば、年収約370万~770万円の人が、1カ月で100万円の医療費がかかり、3割負担によって30万円を支払った場合、この制度で、最終的な自己負担額は8万7430円程度になります。残りの約21万円は申請することで戻ってきます。

ただし、入院時の食事代や差額ベッド代といった保険の対象にならないものは、制度の対象外なので注意しましょう。

高額療養費制度を使うには、加入している公的保険にみずから請求する必要があります。払い戻しには、診療月から通常3カ月程度かかります。なお、請求の時効は2年です。

一時的にとはいえ、高額の医療費を立て替えるのが大変だという人は、事前に加入している健康保険に申請し、「限度額適用認定証」を発行してもらいましょう。認定証を病院の窓口に提出することで、自己負担限度額までの負担ですみます。


紹介してきたように、日本の公的保険(社会保障制度)は手厚いことがわかります。

これらを踏まえて、保障が足りていない部分は、基本的に貯蓄で備えましょう。過度に民間の保険で備える必要はありません。最低限に留めておきましょう。

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