核禁条約 イラスト化 「問題身近に感じてほしい」

核兵器が開発される様子を表現した有原さんのイラスト(いずれも有原さん提供)

 原爆を題材にした映画を制作する有原誠治さん(72)=東京=は、22日発効する核兵器禁止条約が禁止する、開発や実験など7項目を“悪魔”をイメージしたキャラクターなどで分かりやすく紹介するイラストを作成した。有原さんは、絵を通して「核兵器の問題を身近に感じ、関心を持ってほしい」と話している。
 有原さんは、被爆医師の故秋月辰一郎さんを描き、2007年に米ニューヨークの国連本部内で上映されたアニメーション映画「NAGASAKI 1945 アンゼラスの鐘」を制作。全ての国・地域に条約の批准などを求める「ヒバクシャ国際署名」に都内で取り組んできた。
 イラストは、昨年12月末、条約の内容や核軍縮の現状を世間に知ってもらおうと制作を開始。署名活動の仲間から「英文を加えたらどうか」などの助言を受けながら、色鉛筆と水彩絵の具を使って1週間ほどで描き上げた。
 描いたのは「核兵器禁止条約が×にしたこと」と題し、▽開発▽実験▽製造▽備蓄▽委譲▽使用▽使用の威嚇、の7つ。紫と青のオリジナルのキャラクターは、核兵器のおぞましさをイメージ。子どもから大人まで理解できるよう、漫画風の作画にした。
 「開発」は、定規などを使って核兵器を設計している様子を表現。羽ペンから滴るインクは、核兵器を使用することで生まれる被害を血の赤でイメージした。「備蓄」は、青い悪魔が核兵器のそばで赤いボタンを押そうとしており、核のボタンはいつ押されるか分からない状況にあると表現している。「使用の威嚇」は、腕を組んで威張る核兵器の前に、2人の悪魔が相手を挑発。悪魔の表情や態度から、核抑止論の愚かさを表現している。
 自身のフェイスブックで昨年末から無料で配布しており、国内外から「利用したい」との声が上がっているという。問い合わせは有原さん(ファクス042.493.8801)。

核兵器が備蓄され、核のボタンが押される危険性を表現した有原さんのイラスト
核兵器による威嚇の様子を表現した有原さんのイラスト

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