神奈川・逗子から宇宙へコール 中学生がISSと無線交信 野口さんもサプライズ登場 

宇宙に向かい、練習してきた英語で質問を重ねた生徒たち=逗子市立久木中学校

 神奈川県逗子市立久木中学校(同市久木)の生徒や地元のアマチュア無線クラブなどが20日夕、地上から400キロ上空の国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士と、アマチュア無線での交信に成功した。生徒が宇宙での生活やコロナ対策などを英語で質問したほか、茅ケ崎出身の宇宙飛行士・野口聡一さんが出演するサプライズも。宇宙とつながった約10分間は生徒にとって「人生に一度の貴重な経験」となった。

 午後5時17分。ノイズ音が響く中、ISSに滞在する米テキサス州出身の女性飛行士シャノン・ウォーカーさんとの交信が始まった。久木中が参加したのは、米航空宇宙局(NASA)で20年続くプログラム「ARISSスクールコンタクト」。宇宙飛行士と世界中の子どもがアマチュア無線で交流するものだ。

 交信できるのはISSが水平線から上って沈むまでの10~15分間。生徒は一人ずつ「ISSのコロナ対策は?」「宇宙で怖いことは?」と英語で質問。シャノンさんは「地上で隔離など対策しウイルスを持ち込まないようにした」「怖さ以上に、ワクワクしている状態」などと回答。「一番好きな宇宙食は日本のカレー」との言葉には笑顔が広がった。野口聡一さんも予定外に出演し、「久木中学校、頑張れー」と激励した。

 コロナ対策を質問した2年の加納みなみさん(14)は「宇宙での頑張りを聞け、私も社会の役に立ちたいと思った」と笑顔。生徒たちは「今までで一番緊張したけど、貴重な体験ができた」と口をそろえた。

 生徒の興味関心を広げたいとARISS参加を企画したのは地元の「逗子・葉山アマチュア無線クラブ」。無線に詳しい「横須賀─逗子VEチーム」と協力し、NASAへの申請や指定機材の用意、臨時の無線局開局などを4年掛けて準備した。同クラブの石井康生会長(57)は「私たちにとっても一生一度の経験。大成功」と喜んだ。

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