「中日は暗い」イメージの“正体”は? 新風吹かせた内野手が語るチームカラー

元中日・亀澤恭平【写真:荒川祐史】

2015年から中日で5年間プレーした“ムードメーカー”亀澤恭平

苦境のチームに、新風を吹かせたのは間違いなかった。中日がBクラスの常連になり始めていた2015年。ソフトバンクの育成から支配下選手として加入したのが、亀澤恭平内野手だった。底抜けの明るさでファンサービスやパフォーマンスを率先して実施。自らのスタイルを貫いた先に“変化”もあったと振り返る。

主力の平田良介外野手とともに、ベンチ横のカメラに向かってポーズを決める。6年前の中日では、恒例の光景だった。ファンに楽しんでもらうためのパフォーマンスを考案。メディアへの発信にも積極的に取り組んだ。ごく少数からは否定的な意見もあったが、「何人かは騒いで盛り上げる人がいたっていい」と変えなかった。

もちろん、3年間過ごしたソフトバンクとはチームの雰囲気は違った。一部で噂され、耳にすることもあった「中日は暗い」というイメージ。いざ飛び込んでみると、言葉が一人歩きしているように思えた。

「暗いというか、淡々と野球をするのがチームカラーなんだと。闘志を内に秘めて戦っている感じを受けました」

2020年は琉球ブルーオーシャンズでプレー【写真提供:琉球ブルーオーシャンズ】

18年の松坂加入も追い風に…積極的なファンサービスは若手の手本に

得点が入ってベンチ一丸となって喜ぶチームもあれば、相手に隙を見せずに戦うチームもある。中日は後者だと思った。ただ一方で「少し感情を出すのを我慢してプレーしているようにも見えた」のも確か。何より勝手に「暗い」と言われているのがもったいない。中日にとっての“正解”は分からなくても、自身の持ち味を発揮した。

「あくまで僕の感覚ですが、毎年よりフランクな雰囲気になっていった気がしますね」。加えて、18年には松坂大輔投手が加入。率先してファンサービスに時間を割く姿は若手の手本となった。「いい意味で、新しい雰囲気の中日になってきたのかなと」。19年までBクラスは続いたが、チームの変化は進んでいたと信じる。

亀澤自身は19年限りで戦力外となり、20年は沖縄初のプロ野球球団「琉球ブルーオーシャンズ」でプレー。新天地でも変わらぬ姿でいる。古巣は8年ぶりにAクラス入りを果たし、同学年の大野雄大投手は沢村賞に輝いた。近づく強竜復活の瞬間を、元所属選手として楽しみにしている。(小西亮 / Ryo Konishi)

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