ヤクルトのドラフト1位は育っているか? 山田&村上輩出も、先発投手に課題

ヤクルト・山田哲人(左)と村上宗隆【写真:荒川祐史】

山田は2010年ドラフト“外れ外れ1位”だったが…

12球団にとってチーム編成の根幹を成す毎年のドラフト会議。そこで指名した選手たちが翌年、さらには3年後、5年後のチームを支える存在に育ってくれるかどうかは、球団成績の浮沈を左右する重大事だ。

では、各球団は近年どれだけドラフト1位で指名した選手たちを育て上げることが出来ているのか。希望枠、自由獲得枠が廃止され、ドラフトが現行システムとなった2008年以降のドラフト1位指名選手の成績を検証してみよう。

なお、編集部独自に簡易的ではあるが、採点基準を設定。数多く試合に出場してチームの戦力となっているかを計るために出場試合数に応じた得点制とし、10点満点とした。なお、先発、中継ぎ双方で投げた投手には「先発数×2.5」試合で補正をかけることとした。

・野手:100試合、300試合、500試合、700試合、1000試合出場で1点ずつ
・投手(先発):20試合、50試合、75試合、100試合、150試合で1点ずつ
・投手(中継ぎ):50試合、100試合、150試合、200試合、300試合で1点ずつ
・個人タイトル獲得者:4点ずつ(ベストナイン、ゴールデングラブ賞も含む)

今回はセ・リーグで2年連続最下位に終わっているヤクルトだ。ヤクルトにとって最大の収穫だったのは2010年の山田哲人で間違いない。この年は大学4年生となった“ハンカチ世代”がドラフトの目玉だった年。山田は斎藤佑樹、塩見貴洋を抽選で外した後の“外れ外れ1位”だったが、結果的にはこの年のドラフトで屈指の出世株となった。

ヤクルト・奥川恭伸【写真:荒川祐史】

村上は昨季最高出塁率、清水も最優秀中継ぎのタイトルを獲得

プロ3年目の2013年に93試合に出場して頭角を現した山田は2014年に打率.324、29本塁打と一気に覚醒。2015年に打率.329、38本塁打100打点34盗塁をマークして初のトリプルスリーを達成。さらに本塁打王、最高出塁率、盗塁王のタイトルも獲得した。2016年、2018年にもトリプルスリーを達成しており、NPB史上でただ1人、複数回のトリプルスリー達成者となっており、文句なしに評価も10点満点となる。

この山田に次ぐのは2017年の村上宗隆内野手だろう。2019年に台頭し36本塁打を放つと、昨季は打率.307、28本塁打86打点をマークし、最高出塁率のタイトルを獲得した。まだ通算269試合の出場で点数自体は6点となったが、今後もヤクルトの主砲として活躍が期待される選手と言える。

2012年の石山泰稚投手もチームにとって不可欠な存在だ。1年目からリリーフとして60試合に登板。一度は先発に配置転換されたものの、再びリリーフに戻ると、近年はヤクルトの守護神として活躍。2018年には自己最多の35セーブをマークしている。また、2018年の清水昇投手も昨季52試合に登板して30ホールドを挙げて最優秀中継ぎ投手となった。

タイトル獲得者を3人輩出し、石山という守護神も育っているヤクルトのドラフトだが、鳴かず飛ばずで終わった選手も。2011年の川上竜平外野手は1軍出場のないまま、5年で戦力外に。2014年の竹下真吾投手も2年目に1試合に登板しただけで、わずか3年で戦力外通告を受けた。

山田、村上という球界屈指の強打者を輩出しているヤクルト。石山、清水という投手2人も戦力となっており、総得点も45点とまずまずだが、1つの気がかりが、12年間のドラフト1位で先発投手が育っていないところ。2019年には奥川恭伸投手を指名しており、その成長、台頭を期待したい。

【表】活躍を数値化… 現行システムとなった08年ドラフト以降のヤクルトドラ1を独自検証

【表】活躍を数値化… 現行システムとなった08年ドラフト以降のヤクルトドラ1を独自検証 signature

(Full-Count編集部)

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