V長崎・吉田新体制の展望<1> 継続と成熟 昨季をベースに前へ

コーチから昇格した吉田新監督。「目標はJ1昇格。この一つ」と強い決意をにじませた=佐世保市、ジャパネットたかた本社

 4年ぶりのJ1復帰が絶対条件となるV・ファーレン長崎。
 20日に行われた新体制発表会。新たに就任した吉田孝行監督は開口一番に宣言する。「まず今季の目標ですが、J1昇格。もう、この一つだと思う」と、多くを語らずにマイクを置いた。
 サービス心旺盛だった手倉森誠前監督とは対照的な姿。だからこそ、だろうか。強烈なメッセージ性があった。静かに、誠実に言葉を発する新リーダーからは、失敗が許されない今季への並々ならぬ決意がうかがえた。
 1年前にトップチームのコーチとして招かれた吉田氏。若手育成で手腕を発揮し、チーム戦術の面での発言力も大きかった。その実績を評価されての監督昇格。「自分のやりたいサッカーを前監督と話しながらやれていた。ベースはそこまでは変わらない」とポゼッションを軸にした昨季のスタイルを継続するつもりだ。
 一方で、新指揮官にはチームの「成熟」も求められる。昨季のJ2を制してJ1昇格した徳島は試合出場率60%超の選手が9人、2位で昇格した福岡は8人いたのに対し、V長崎は4人。コロナ禍の連戦に留意して、試合のたびに起用選手を大きく入れ替えたことが結果的にあだとなり、チームとしての完成度を十分に高められなかった、とクラブは捉えている。引き分けた11試合中、追いつかれてのドロー決着が6試合。一方、福岡は25勝のうち、実に15勝が1-0と戦い方が徹底されていた。
 トップレベルの「力」は持っている。あとは「勝負強さ」をいかに培って、ピッチ上で発揮できるか。J1昇格、さらにその先にあるJ1定着を見据えれば、避けては通れない道だと言える。
 開幕戦は2月27日の金沢戦。トランスコスモススタジアム長崎で午後2時キックオフ。


© 株式会社長崎新聞社