長崎出身イラストレーター・石橋さん 古里で初の個展「ぶらぶら歩いている気分に」

石橋澄さん

 長崎市出身のイラストレーター、石橋澄(すみ)さん(47)=東京都在住=の地元で初めての個展「bla bla sur de 長崎巡り」が、長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで開かれている。24日まで。入場無料。
 石橋さんは同市生まれ。県立長崎南高、北九州大卒。同市の印刷会社に就職したが、幼少時代から好きだった絵への思いを諦めることができず、ロンドンに約2年間留学。美術学校などに通いながら基礎を学び、技術を磨いた。帰国後は、東京を活動拠点とし、グループ展や個展などで作品を発表。作家の林真理子の小説「ウェイティング・バー」や「ペット・ショップ・ストーリー」の表紙を手掛けるなど、活躍の場を広げている。
 今回の作品は2018~20年に長崎をテーマに制作したイラストなど39点。眼鏡橋や長崎水辺の森公園といった観光名所のほか、大波止や中央橋のバス停、中町教会など石橋さんにとって魅力的な風景や情景をアクリルやアクリルガッシュなどを使い柔らかなタッチで描いている。解体された料亭富貴楼のイラストは懐かしさを感じさせる。軍艦島のコラージュ作品、カステラや大浦天主堂の版画もある。
 新型コロナウイルス禍で今回は来崎できなかった石橋さん。取材に「普段何げなく目にしていた風景が、長崎を離れて見れば独特だったと気付いた。絵を見て長崎のまちをぶらぶら歩いているような気分になってほしい」と語った。

眼鏡橋など長崎のイラストが並ぶ会場=長崎市、ナガサキピースミュージアム

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