佐世保署 新署長・植木保氏 インタビュー パワハラ自殺再発防止へ、雰囲気醸成

「一人一人が自分の仕事に意欲的に取り組める環境をつくらねばならない」と語る植木署長=佐世保署

 佐世保署の新署長に、昨年12月11日付で植木保氏(58)が就いた。同署では昨年10月、上司のパワハラを苦にして40代の男性警部補=当時=が自殺。当時の直属の上司と署長がそれぞれ処分を受け依願退職した。再発防止への考えや管内の課題などを聞いた。

 

 -自殺問題では、直属上司の言動がパワハラと認定された。どう受け止めているか。再発防止策は。
 (一連の問題を受けて署長に就任するにあたって)責任を感じている。二度と起こしてはならない。そのためには普段から「話しやすい雰囲気の醸成」が大切。そうすれば、ハラスメントが起きた際も当事者だけでなく周囲からも相談しやすくなるのではないか。
 職場の風通しが悪く、部下が上司の顔色をうかがう風土では業務にも支障が出る。それぞれの仕事の実情や難しさは担当する署員が一番理解している。一人一人が自分の仕事に意欲的に取り組める環境をつくらねばならない。私も若いときはいろいろな失敗や経験をした。けれどそのたびに、周囲の方々がフォローしたり褒めたりしてくれたおかげでやってこれた。恩返しのつもりで署長の役割を務めていきたい。

 -時間外勤務の過少申告が常態化していたことも発覚した。過労死などを防ぐ観点も求められる。
 時間外勤務を正しく申告することでおのおのの働き方を把握し、超過の要因を探ることができる。例えば特定の人に仕事が偏っていると分かれば分担するなど対処できる。個人で抱え込まず組織で対応することが重要だ。ただし、働き方改革が必要な一方で事件や事故はなくならない。業務の合理化、平準化をこれからも続けていく。

 -市中心部の歓楽街では客引きが絡む事件が続いている。対策は。
 男性が首などを刺される傷害事件が昨年10月末に起きて以降、トラブル数は減った。しかし今でも客引きが活動する姿はみられる。誰もが立ち寄れる街にしたい。業界関係者、周辺住民の意見を聞きながらできることをやっていく。

 -他に課題は。
 新型コロナウイルス禍の中、署の体制を維持すること。署員が感染、誰かの濃厚接触者となった場合は業務遂行に影響が出る。署員間の接触を必要最低限にするなど対策を徹底していく。コロナ禍が収束した後に想定されるクルーズ船の入港にも対応が必要だ。


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