卓球全日本選手権をTリーグチーム別に振り返る 後半戦の逆襲に繋げられるか

1月17日、2021年の全日本選手権は及川瑞基(木下グループ/木下マイスター東京)と石川佳純(全農/木下アビエル神奈川)の優勝で幕を閉じた。及川は初優勝、石川は5年ぶり5度目の優勝を飾った。

写真:石川佳純(全農)/撮影:ラリーズ編集部

2人はともに国内の卓球リーグ・Tリーグに所属する選手で、チームの主力として活躍している。Tリーグのレベルは国内最高峰、今回の全日本選手権上位の顔ぶれにもTリーグ所属の選手が数多く名を連ねた。

試合機会の少ないこのご時勢の中でも、Tリーグに出場することで試合勘を失わずに全日本選手権に臨むことができたという点も関係しているのかもしれない。

そこで今回は、Tリーグの男女全8チームそれぞれについて、今大会で好成績を収めた選手を紹介する。

Tリーグチーム別 全日本選手権結果 女子編

それでは早速、Tリーグのチーム別に全日本選手権の結果を振り返っていこう。男女ベスト32以上、ジュニアはベスト4以上にランクインした選手を紹介していく。まずは女子4チームから。

木下アビエル神奈川

写真:石川佳純/撮影:ラリーズ編集部

石川佳純:優勝
木原美悠:ベスト4
平侑里香:ベスト8
長﨑美柚:ベスト8
木村香純:ベスト32

トップおとめピンポンズ名古屋

写真:梅村優香/撮影:ラリーズ編集部

梅村優香:ベスト32
安藤みなみ:ベスト16※
※安藤は2月よりチームに加入

日本生命レッドエルフ

写真:早田ひな/撮影:ラリーズ編集部

早田ひな:ベスト4
森さくら:ベスト16
平野美宇:ベスト16
前田美優:ベスト16
皆川優香:ベスト32
麻生麗名:ベスト32

日本ペイントマレッツ

写真:加藤美優/撮影:ラリーズ編集部

加藤美優:ベスト32

女子はTリーグの結果が反映された全日本に

女子はベスト8のうち5名がTリーガーとなった。Tリーグ未所属の選手は、伊藤美誠(スターツ)、佐藤瞳(ミキハウス)、横井咲桜(四天王寺高)の3名だ。

写真:木原美悠/撮影:ラリーズ編集部

リーグ首位の木下アビエル神奈川は、リーグ戦の勢いそのままに全日本選手権でも結果を残した。石川が5年ぶりの戴冠、木原、長﨑の「ダブルみゆう」もベスト8入り。平も自己最高のベスト8に食い込んだ。リーグ2位の日本生命レッドエルフは早田がベスト4入り。森、平野、前田、皆川、麻生を加えた計6名をベスト32以上に送り込んだ。

写真:安藤みなみ/撮影:ラリーズ編集部

一方、トップおとめピンポンズ名古屋と日本ペイントマレッツは苦戦を強いられた。日本ペイントは加藤のベスト32が最高成績。トップ名古屋は梅村がベスト32、2月より加入する安藤がベスト16入りとなった。若手や外国人選手が多いチーム構成ではあるものの、寂しい結果となってしまった。

Tリーグの順位と全日本の結果が比例した全日本選手権となったが、20日から再開したTリーグではトップ名古屋と日本ペイントが全日本の借りを返す活躍を見せている。22日には、ビクトリーマッチを含め2勝を挙げた加藤がエースの意地を見せ、日本ペイントが日本生命に勝利した。23日にもトップ名古屋が日本生命を下した。

写真:加藤美優(日本ペイントマレッツ)/提供:©T.LEAGUE

木下、日本生命の優勝争いに待ったをかけることができるか、今後の展開に注目だ。

Tリーグチーム別 全日本選手権結果 男子編

続いて男子編をみていこう。

木下マイスター東京

写真:及川瑞基/撮影:ラリーズ編集部

及川瑞基:優勝
張本智和:ベスト8
大島祐哉:ベスト16

T.T彩たま

写真:英田理志/撮影:ラリーズ編集部

英田理志:ベスト8
神巧也:ベスト16
曽根翔:ベスト16
松山祐季:ベスト32
髙見真己:ベスト32
篠塚大登:ジュニアベスト4

岡山リベッツ

写真:森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部

森薗政崇:準優勝
田中佑汰:ベスト4
吉田雅己:ベスト4
丹羽孝希:ベスト8
田添響:ベスト32
町飛鳥:ベスト32
上田仁:ベスト32

琉球アスティーダ

写真:吉村真晴/撮影:ラリーズ編集部

吉村真晴:ベスト16
有延大夢:ベスト32
村松雄斗:ベスト32
吉村和弘:ベスト32

男子は全日本で岡山勢が躍進

男子はベスト8進出者のうち7名をTリーガーが占めた。唯一のTリーグ未所属として龍崎東寅(明治大学)がベスト8に入っている。

写真:田中佑汰/撮影:ラリーズ編集部

中でも躍進が目立ったのは岡山リベッツだ。森薗、田中、吉田はいずれも自己最高成績を挙げ、丹羽を含めた4名でベスト8の半数を占める大健闘を見せた。Tリーグでは3位と波に乗り切れないリベッツだが、2021年は逆襲の年となるだろうか。

一方、意外な結果に終わったのは琉球アスティーダ。Tリーグでは絶好調、2連覇中の木下を抑え首位をひた走っているが、今回の全日本選手権は吉村真晴のベスト16が最高となった。前年準優勝の戸上隼輔の棄権も不運だった。

再開したTリーグでは、木下と岡山がともに彩たまを下している。全日本優勝の及川、準優勝の森薗がともに勝利を挙げ、全日本の勢いを維持している。

写真:森薗政崇(岡山リベッツ)/提供:©T.LEAGUE

森薗は彩たま戦後の取材に対し、「全日本で結果が出せたことが大きい。今日の試合は落ち着いて入ることができた」と語っており、全日本での好調をTリーグにも上手く持ち込むことができているようだ。

全日本を境にリーグ戦の潮目が変わる可能性は十分ある。やや不満の残る結果に終わった琉球を追う木下、岡山。リーグ戦の残り試合数は少ないが、混戦の可能性を感じさせる全日本となった。

文:石丸眼鏡

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