トヨタ、最終日を前にトップ3独占。勝田貴元も6番手「最後まで冷静に」とラトバラ/WRCモンテカルロ

 WRC世界ラリー選手権第1戦モンテカルロのデイ3が1月23日に行われ、SS9~11を戦い抜いたTOYOTA GAZOO Racing WRTはセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)の総合首位を筆頭にエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)とカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合2、3番手に続き、競技最終日を前にトップ3を独占した。

 2021年シーズン開幕戦モンテカルロの競技3日目は、サービスパークが置かれたギャップの東側エリアに設定された3本のステージ、合計距離は57.10kmで争われた。

 この日もオープニングステージの開始は早朝となり、選手たちは夜明け前の暗闇のなか雪と氷に覆われたステージに向けて、金属製のスパイクが埋め込まれたスタッドタイヤを装着し最初のSS9に臨んだ。

 前日のデイ2で、3ステージ連続を含む4SSでベストタイムをマークするもパンクによって総合2番手となったオジエは、このSS9で圧巻の走りを披露。2番手タイムを記録したエバンスに17.8秒という大差をつけ今大会5度目のステージ優勝を飾り、総合でも僚友を逆転し首位に立つ。

 続くSS10では先行車によって磨かれた凍結路面でグリップが得られずステージ首位から42秒遅れとなったものの、総合での順位は譲らず。最終ステージでも2番手タイムを記録し総合首位を堅持。ラリー・モンテカルロ最多通算8勝目に王手をかけた。

「完璧とは言えないが、良い1日だった」とデイ3をふり返ったオジエ。

「かなり攻めたので、あのような速いペースで走りながらも無事フィニッシュラインを通過できて良かった。新しいタイヤについては、まだまだ学んでいる状況だ」

 一方、チームメイトに首位の座を譲るかたちとなったエバンスもSS10では苦戦を強いられた。彼はエンジンストールにも見舞われSS10で46秒を失う。それでもオジエと同様に総合2番手の座を守ると、この日最後のSS11ではベストタイムをマークし、トップと13秒差の総合2番手で最終日を迎えることとなった。

 また、デイ2で総合4番手となったロバンペラは、ライバルの脱落もあり、SS9で総合3番手に浮上。その後も安定した走りでチームのトップ3独占に貢献している。

 トヨタ育成の勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)も前日から好ペースを維持した。迎えた3日目もSS10で5番手、SS11で6番手タイムをマークし、前日の総合8番手からふたつ順位を上げ総合6番手につけている。

勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)

■ラトバラ「万事順調といえるが、ここはモンテカルロだ」

「ここまで、我々のドライバーたちのパフォーマンスにこれ以上ないくらい満足しており、チーム全員が本当に素晴らしい仕事をしてくれている」と語るのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表。

「万事順調といえるが、ここはモンテカルロだ。驚くようなことが起き得ることを忘れるべきではない」

「SS10では、スタート順が後方だったクルマはグリップ不足に苦しめられた。しかし、それ以外の2本のステージは本当に良かったと思う。明日の最終日は非常に厳しい戦いになるだろう」

「とくにパワーステージは急なダウンヒルと凍結路面の両方が重なる可能性があり、私が知る中でもっとも難しいステージのひとつになるのではないかと思う。何が起きても不思議ではないので、最後まで冷静さを保ち続けなくてはならないんだ」

 ラリーの最終日となる1月24日(日)のデイ4は、モナコを基点にフレンチアルプスの山中で2ステージのループが行われ、最終SS15はステージ上位車にボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。

 なお、このデイ4では昼のサービスがなく計4本のステージ中、大きな修理やサスペンション変更等のセッティング変更は不可能だ。4本のSSの合計距離は54.48km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は272.63kmとなっている。

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
洗車サービスを受けるトヨタ・ヤリスWRC
サービスでメンテナンスを受けるトヨタ・ヤリスWRC

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