V長崎・吉田新体制の展望<2> 戦力アップ 心強い「両心臓」残留

今季のV長崎メンバー

 V・ファーレン長崎は昨季、魅力的なサッカーを見せてくれた。特定のストライカーに頼らずともクラブ史上最多の総得点66(リーグ3位)を記録。中央、サイドとどこからでも変幻自在に仕掛け、ゴールを量産した。
 そんな攻撃的スタイルは、今季も受け継がれそうだ。何よりも大きいのは、チームの「両心臓」とも言えるMF秋野央樹、MFカイオセザールの残留。ボールを保持して試合を支配するサッカーは、対戦相手の脅威になるだろう。
 一方、昇格に届かなかったのには、それだけの理由がある。命取りになったのが空中戦の弱さだった。長身選手がそろっているにもかかわらず、競り負けたり、マークを外してしまう場面が目立ち、攻守どちらのセットプレーも常に不安がつきまとった。今季のてこ入れの最優先事項に挙げられていた。
 その意味で、187センチ、80キロの屈強なフィジカルを持ち、Jリーグ通算109ゴールと決定力も申し分ないFW都倉賢を、C大阪から完全移籍で獲得できたのは心強い。
 前線の収めどころとして期待されるポストプレーヤーは「最低2桁ゴールがFWの役目。こだわりを持ちながらやっていきたい」と意欲的。昨季、FW富樫敬真の7ゴールがチーム最多得点だった点については「いろんな選手が点を取れるのは魅力的。大事にしながら、型にはめて点を取る部分も出したい。自分自身、セットプレーやクロスでアドバンテージは常に持っていると思う」と足りないピースを埋める役目を自覚している。
 組織的なサッカーをベースにしつつ、泥くさく点を取れるようにもなれば、攻撃の選択肢はさらに広がる。
 DF陣は角田誠、徳永悠平のベテラン2人が抜けた穴を埋め切れていない印象がある。磐田から185センチの長身DF新里亮を獲得したが、本人も「ヘディングが強いかと言えばそうでもない」と自己分析するように問題解決には至っていない。追加補強か若手の台頭は必須になる。


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