三浦・小網代湾にカワウ400羽ねぐら 魚の食害、どう防ぐ?

ふんで真っ白になったカワウのねぐら=三浦市の小網代湾(工藤主任研究員提供)

 神奈川県三浦市の小網代湾沿いに、大規模なカワウのねぐらがある。神奈川県の調査では昨年12月に約400羽の生息が確認され、県内最大規模とみられる。淡水魚の食害が問題視される大型の水鳥だが、海水魚の被害も深刻化。県は同湾のカワウの生態調査を進め、食害防止策を検討する。

◆森の木、鳥のふんで真っ白に…
 カワウのねぐらは奥まった小網代湾の北側にあり、背後は森、前方は海に面している。羽を休める樹木はふんで真っ白に染まり、枯れている木もある。地元住民によると、日中はねぐらを離れ、日が沈む頃に戻ってくるという。

 生態調査を進めている県水産技術センター内水面試験場(相模原市)の工藤孝浩主任研究員によると、カワウは神経質な鳥で、人間を極端に警戒する。容易に近づけない場所がねぐらに適しているらしい。

 カワウというとアユやウグイなど川魚の食害が問題視される。しかし、近年は湖や川よりも餌の多い海辺が餌場の中心になっているという。三浦半島の沿岸部でもいけすのイワシや、定置網に入った魚を海中に潜水して捕食する被害が報告されている。

◆駆除の要望も課題「繁殖集団が分散」
 漁業関係者から駆除を求める声が高まり、2007年に鳥獣保護法施行規則で狩猟鳥に指定された。ただ、ねぐらを駆除しようとすると結果的に繁殖集団を広域に分散させてしまい、被害を拡大させる危険性がある。

 県は2月から繁殖期の状況を調査して対策を検討する。最近はドローンを利用してドライアイスを巣の中に落とし、卵をふ化させないことで繁殖を抑制する方法もあるという。

 工藤主任研究員は「他県の事例を参考にして、食害被害を減らすための効果的な対策を考えたい」と話している。

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